医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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脇田昇さん
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脇田昇さん
下肢閉塞(へいそく)性動脈硬化症患者の足を正面から撮ったコンピューター断層撮影(CT)画像。右足(画面の左側)の総腸骨動脈が狭まり(赤い円内)、浅大腿(だいたい)動脈の血流が途絶えている(点線部分)(脇田昇副院長の提供画像を一部加工)
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下肢閉塞(へいそく)性動脈硬化症患者の足を正面から撮ったコンピューター断層撮影(CT)画像。右足(画面の左側)の総腸骨動脈が狭まり(赤い円内)、浅大腿(だいたい)動脈の血流が途絶えている(点線部分)(脇田昇副院長の提供画像を一部加工)
神戸新聞NEXT
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神戸新聞NEXT

 健やかに長生きするには適切な運動が欠かせません。そのため、運動のできる足を保つことが有意義です。

 血液は動脈を通じ、体中に酸素や栄養分を届けます。足への血流は、腰骨の辺りで左右2本の動脈に分かれ、足先へと続いています。血管には、高血圧や糖尿病などの影響で脂肪物質などがたまることがあります。たまった部分に血小板などがくっついて、血管が狭まったりふさがったりする動脈硬化に至ります。足で起きた状態を「下肢閉塞(へいそく)性動脈硬化症」と言います。心臓や脳などの血管でも起きている可能性があるのでチェックすることが大切です。

 初期段階では血流が滞った場所に触れると冷たい程度で、症状はほとんど出ません。次第に一定の距離を歩くと、ふくらはぎや太もも、お尻に痛みやだるさ、こむら返りなどが起き、10分ほどで治る「間欠性跛行(はこう)」が生じます。

 進行はゆっくりですが、動かなくても痛むようになります。重症化すると、血液が届かずに栄養が滞ります。潰瘍や組織の壊死などが起き、足を切断しなければならないこともあり、命の危険も高まります。間欠性跛行の段階での対処が重要です。

 下肢閉塞性動脈硬化症は中年以降の男性に多く、65歳以上でその数は一気に増えます。糖尿病で4倍、喫煙で3倍、高脂血症で2倍リスクが高まるとされています。

 間欠性跛行の場合、血液をサラサラにする薬と歩く運動療法を行います。ひとたび狭くなった血管は自然には広がりませんが、運動することで周囲に細い血管ができ、ある程度の血流は回復できます。

 それでも、歩いて痛みが出始める距離が短くなった場合には、血管にカテーテル(医療用の細い管)を入れて行う治療などを検討します。狭くなった血管を風船で広げたり、ステント(金属製の細い筒状の網)を据え置いたりして血流を回復させます。しかし、数年から10年前後で再発する恐れがあり、この治療を何度も繰り返す人もいます。治療だけでは限界もあります。

 平均寿命は延び、70歳で余命は男性で約16年、女性は約20年です。頭や筋肉と同じで、足も使わなければ衰えます。歩けば生活習慣病の予防になります。足の色などの状態に気を配り、足に合った靴を履くことも大切です。楽しく長生きするため、無理せず休憩しながら、自分のペースで毎日歩きましょう。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【わきた・のぼる】1955年大阪府吹田市生まれ。神戸大医学部卒。90年から神戸労災病院勤務。99年同病院心臓血管外科部長、2013年から副院長兼務。日本外科・日本胸部外科・日本心臓血管外科の各学会指導医。神戸市垂水区在住。

脇田さんが勧める三つの作法

一、毎日欠かさず、歩くことを心掛ける

一、歩く距離や速さは、無理をせず自分のペースで

一、足の状態や靴にも気を配る

間欠性跛行(はこう)

 発症者のうち、下肢閉塞(へいそく)性動脈硬化症による人は約4分の1で、多くの人は神経性の腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症などによるとのデータもある。神経性の場合、安静時でもしびれを感じ、痛みが広がるなど、閉塞性動脈硬化症との違いがある。

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