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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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窪田良さん 
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世界から失明をなくすため、AMDをはじめとする目の新薬開発に向けた研究が進む=米シアトル近郊ボセルのアキュセラ研究所
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世界から失明をなくすため、AMDをはじめとする目の新薬開発に向けた研究が進む=米シアトル近郊ボセルのアキュセラ研究所

 中高年に多い眼疾患といえば「白内障」や「緑内障」が有名ですが、少々なじみの薄い「加齢黄斑変性(AMD)」も注意したい目の病気です。

 AMDは、ものを映す網膜の中心部(黄斑)が障害されて、視界が歪(ゆが)んだり、視野の真ん中が暗くなったり欠けたりする眼病。世界中で約1億3500万人もが罹患(りかん)し、欧米では失明原因の1位です。日本でも近年増加中で、失明原因の4位に浮上しています。

 AMDの原因の一つと考えられるのが、「光の浴びすぎ」。もともと人には、暗闇でも見えるようにと、網膜に感度の高い光センサーが備えられています。ところが四六時中強い光にさらされる現代では、かえって高感度があだとなって目の中に有害物質がたまり、黄斑が傷つけられることに。さらに長寿命化で一生に浴びる光の量が多くなって、この病気にかかる確率が高くなったと考えられています。残念ながら根本的な治療法は現時点でありませんが、私たちは現在、光に対して感度の高い細胞を休ませる飲み薬、いわば「飲むサングラス」と呼べる新薬を開発しているところです。

 AMDがやっかいなのは初期に自覚症状がないところ。また少々見えにくくなっても、年のせいと思い込みがちです。おかしいと感じた段階で障害が進んでいることも多いので、年に1度は眼科で眼底検査をしてもらうとよいでしょう。過剰な光から身を守ることも大切なこと。米国眼科学会ではAMDを防ぐヒントとして、定期的な運動や禁煙などを推奨しています。

 特に私が大切だと思うのは小さいころから目を大切にする〝視点〟を持つこと。視力は、10歳くらいまでに形成されるといわれます。お子さんには夜更かしをさせず、寝るときには部屋を真っ暗にするなどの対策を。子どもたちの目の健康をしっかり守り続けることこそ、世代を超えて受け継ぐべき長寿の作法といえるのかもしれません。(聞き手・ライター小林和夫)

【くぼた・りょう】1966年神戸市出身。慶応大医学部卒業。大学院時代に緑内障の原因遺伝子を世界で初めて発見。2002年米国で創薬ベンチャー「アキュセラ」を創業。

加齢黄斑変性

 加齢で網膜中心部の黄斑に障害が生じる病気。日本でも50歳以上の約1%に見られるというデータも。滲出(しんしゅつ)型には目への薬剤注射などがあるが、萎縮型には現在は有効な治療法がない。

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