医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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宇賀昭二さん
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宇賀昭二さん
看護師を目指す学生への講義。健康への意識を高めるのも目的の一つ=神戸市中央区港島中町4、神戸女子大
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看護師を目指す学生への講義。健康への意識を高めるのも目的の一つ=神戸市中央区港島中町4、神戸女子大

 アフリカや東南アジアの途上国で寄生虫や感染症を研究してきました。飲み水などの衛生状態は悪く、下痢や肺炎、マラリアなどで多くの人が亡くなっています。サハラ砂漠より南では子どもの約1割が5歳までに亡くなる状況が続いています。

 その一方で、日本は平均寿命が男女とも80歳を超える有数の長寿国です。そうした日本にも課題はあります。せっかく長生きしても、最後の10年ほどは要介護など不自由な状態で過ごしているのです。心身ともに自立した生活を送れる「健康寿命」を延ばすために、政府は食生活の改善や喫煙率の低下などさまざまな目標を定めています。

 健康長寿を実現するには、医師にかかることも大切ですが、やみくもに出された薬を飲み、足りなくなればまた医師にかかるだけでは不十分です。自分の症状に関心を持ち、医師の話が分からなければ尋ねるようにする。薬はいつまで飲めばいいのか、やめ時を相談することも大切です。糖尿病などの生活習慣病を予防するために自己管理し、健康診断の数値が悪くなれば対処する健康リテラシーを高めましょう。

 特効薬の一つは教育です。今、看護師を目指す人たちに感染免疫学を教えています。患者の症状に合わせて看護や介護をするための知識を身に付けていますが、その情報は学生自身にも有益です。

 例えば、高血圧や高脂血症などが引き起こす脳梗塞は、仕事や日常生活に大きな影響を及ぼします。そうしたリスクを若い時からしっかりと知り、きちんと運動する。だからといって、中高年の人がいきなりマラソンを始めるのは無理があります。早歩きで少し心拍数を上げる程度でいいのです。

 90歳を超えても若々しい人と、60代でも元気がない人がいます。これには長寿遺伝子サーチュインが関わっているといわれます。マウスやサルでの実験では、エネルギー摂取量が過剰な場合はこの遺伝子は働きませんが、摂取量を7割にすると活性化し、老化を防ぐことが分かってきました。一方で、必要量の半分以下になると体調不良になるので、ダイエットのし過ぎは禁物です。

 サーチュイン遺伝子の解明を期待しつつ、適度な運動を続け、「腹八分目」を実践することで、健康寿命を延ばしていきましょう。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【うが・しょうじ】1949年、高知県生まれ。日本大大学院農学研究科修了。神戸大医学部保健学科教授などを経て、2015年から現職。医学博士(感染症学)。神戸市北区在住。

宇賀さんが勧める三つの作法

一、若い頃から自分の健康に関心を持つ

一、医師や薬に頼りきらず、自分で治す気持ちを

一、運動習慣を身に付け、腹八分目を心掛ける

サーチュイン遺伝子

 細菌からほ乳類までが持つ老化抑制遺伝子の総称。運動やエネルギー摂取量が活性化に関わるとされる。この遺伝子を活性化させたマウスは長生きしたという報告もあり、世界で遺伝子解析や動物実験などさまざまな研究が進む。

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