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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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伊藤純さん
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 日本人の平均寿命は男性81・0歳、女性87・1歳と世界第2位ですが、健康に毎日を過ごせる「平均健康寿命」との差は10年を超えています。それだけの間、健康に関わる不自由を強いられているのです。がんに次いで、心疾患や脳血管疾患は死因の多くを占めており、血管にまつわる病気を予防することは、健康長寿につながるといえます。

 血管の若さを保つには、高血圧や糖尿病など生活習慣病の予防と早期治療に加え、腎臓のケアが鍵となります。腎臓は腰の辺りに左右二つある毛細血管がグルグルと丸まった臓器です。血液をろ過し、毒素をはじめ、余分な水や酸、ミネラルを尿として体外に出し、血液を正常な状態に保っています。腎臓の機能は、誰もが加齢に伴い毎年約0・5%下がりますが、腎臓病はそのスピードを速めます。腎不全になると、尿毒症になり、吐き気や意識障害、心不全、致死性の不整脈などを引き起こします。そのため、腎機能が健康な人の約5%にまで下がると、人工透析か腎移植が必要になります。

 同時に心不全や心筋梗塞、脳卒中を発症するリスクも著しく高まります。余分な水が血管内にたまって血圧が上がり、貧血が進んで心臓に負担がかかります。カルシウムがこびりついて血管は骨のように硬くなり、体内の過剰な活性酸素や糖と結合したタンパクが血管をもろくします。

 腎機能の低下は血管の状態を悪化させますが、動脈硬化もまた、腎機能の低下を加速させます。これらを防ぐため、体内の酸化を防ぐ野菜や果物、お茶を中心にバランスのとれた塩分の少ない食事や適度な運動、禁煙を含めた生活習慣に気を配りましょう。最近では、食品添加物の入った加工食品に多く含まれるリンの取り過ぎが、血管や寿命に悪影響を与える可能性も指摘されています。

 腎臓病は生活習慣によるものばかりではありませんが、免疫異常などによる腎臓病を含め、早期に治療を始めれば、進行の食い止めや、治すことが期待できます。腎臓病の初期には自覚症状がありませんが、尿検査で異常が見つかることがあります。定期的に健康診断を受け、問題があれば精密検査や治療を受けるようにしてください。

 腎臓を守ることは血管を守ることです。外見の美容だけでなく、体内の血管のアンチエイジングも心掛け、健康長寿を目指しましょう。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

 【いとう・じゅん】1974年、横浜市生まれ。東海大医学部卒。腎臓内科医。神戸大病院腎・血液浄化センター副センター長などを経て、2014年から兵庫大健康科学部(現看護学部)教授。兵庫CKD(慢性腎臓病)対策・連携協議会事務局代表。神戸市垂水区在住。

伊藤さんが勧める三つの作法

一、尿検査を毎年受け、異常があれば医師にかかる

一、減塩を心掛け、できるだけ加工食品を食べない

一、適度な運動を続け、十分な睡眠を取る

尿検査

  尿糖と尿蛋白(たんぱく)の検査は年1回、事業主が従業員に行う健康診断で義務付けられている。小中学校では1974年から実施され、生活習慣病の予防を目的に40~74歳を対象にした特定健診でも行われている。

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