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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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中村誠さん
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中村誠さん
目の病気の早期発見には、定期的な検査が重要。3月の世界緑内障週間では、啓発のライトアップが全国で行われている=2016年3月9日、神戸市中央区東川崎町1
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目の病気の早期発見には、定期的な検査が重要。3月の世界緑内障週間では、啓発のライトアップが全国で行われている=2016年3月9日、神戸市中央区東川崎町1

 年齢を重ねると、老眼で近くのものが見えにくくなるほか、高齢者特有の目の病気にかかることが増えます。日本では、高齢化とともに視覚障害者の数も急増しています。

 視力の低下は、生活の質を大きく下げますし、一生向き合わなくてはいけません。健康長寿の大敵といえます。

 ですが、実はそれだけではないのです。

 視力が改善すると、歩行の速度が上がることが分かっていますし、光を十分に感じられれば、一日のリズムが正常になることも明らかになっています。見えないことが、外出しない、本を読まない、人と会わないことにつながり、認知症に関係することも知られています。

 つまり、ものの見え方は、生活全体にかかわっていることが、最近の研究で明らかとなっているのです。

 高齢者に多い目の病気を挙げると、白内障、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症があります。

 白内障は、レンズに相当する水晶体が濁る病気です。私が医師になった30年前に比べ、手術の手法、代わりに入れるレンズの性能とも格段に進歩しました。非常に多くの手術が行われ、もとの視力に戻ることが期待できます。

 緑内障は、ゆっくりと視野が欠けていきますが、怖いのは、自覚なく進行すること。40歳以上の20人に1人がかかっているとされますが、治療していない人が9割に上るといわれています。治すことはできませんが、目薬による治療を継続することで視力を保てます。

 かつて日本人にはほとんどいないといわれた加齢黄斑変性ですが、高齢化や食事の欧米化などで近年、急増しています。人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った再生医療でも注目されていますが、目に定期的に注射することで、大半のケースは症状の改善や維持ができます。

 また、糖尿病の発見が遅れたケースでは、気付かないうちに網膜の血管が傷つき、糖尿病網膜症が進行していることもあります。血糖のコントロールとともに、眼科の定期的な受診も大切です。

 いずれの病気も治療が進歩し、早期に発見して適切な治療を受ければ、視力を維持できることがほとんどです。高齢になれば、年に1回は眼科で検査を受け、視力とともに、生き生きとした生活を保ちましょう。(聞き手・武藤邦生、協力・兵庫県予防医学協会)

【なかむら・まこと】1965年、神戸市長田区出身。89年、神戸大医学部卒。94年、神戸大大学院修了。神戸大助手、講師などを経て2013年から教授。日本眼科学会評議員。神戸市東灘区在住。

中村さんが勧める三つの作法

一、年に1度は眼科で検査し、病気を早期発見

一、適切な治療を受け、視力を維持、改善

一、目の健康維持は、認知症予防にも効果大

視覚障害の原因疾患

 2005年度の調査では、1位は緑内障で21%、ほかに糖尿病網膜症19%、黄斑変性症9%(加齢黄斑変性が中心)など。近年、緑内障(1988年は15%)と黄斑変性症(同5%)が大きく増加。一方、白内障は16%から3%に激減した。

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