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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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木澤義之さん
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木澤義之さん
人生をどう生ききるか-。患者や家族が自己決定できるよう、医療者らによる支援が始まっている
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人生をどう生ききるか-。患者や家族が自己決定できるよう、医療者らによる支援が始まっている

 いつまでも元気で長生きしたいと誰もが願います。しかし、残念ながら人間は必ず死を迎えます。医療の発達による長寿社会の実現は、がんや認知症などの病気を抱え長く生きることを同時に意味し、この時期をどうやり過ごすかが人生の質を左右します。

 約7割の人は意識がはっきりせず、人生の最後を自分で決められないというデータがあります。実際に家族が代わりに決めるケースが多くなります。あなたの家族が重症のくも膜下出血で危篤、意識不明の状態になったとします。呼吸が不安定になり、人工呼吸器をつけるかの決断を迫られました。意識が戻る可能性は5%、社会復帰の可能性は1%と告げられたら、あなたならどう決断しますか。

 多くの家族は決断に迷い、「お任せします」「できるだけのことをしてください」とおっしゃいます。すると医師はどうするか? 人工呼吸器の装着など医学的に「正しい」ことは全て行い、延命治療が続くケースが多いです。しかしながらそれは本人にとって本当に幸せなことでしょうか。

 自分の生き方や最後の時間の過ごし方をあらかじめ家族と話し合った方が、人生の満足度が高く、家族の精神心理的負担も少ないという報告があります。それらのプロセスを医療者らが支援する取り組み「アドバンス・ケア・プランニング」が始まっています。

 ある男性がん患者は治療が奏功せず、がん治療を中止することを最初は受け入れられませんでした。しかし、看護師の助けもあって少しずつ状況を受け止められるようになり、これからのことを時間をかけて奥さんと話しました。そして、元気なうちに自分のお店を整理し、家族の将来を十分話し合ってその時を迎えました。周囲への感謝を口にする穏やかな最期でした。

 最後まで自分の人生を生ききるために、そして家族のためにも自分の最期のときについて話し合ってみませんか。(聞き手・田中伸明、協力・兵庫県予防医学協会)

【きざわ・よしゆき】1967年生まれ。筑波大学医学専門学群卒業。2013年に神戸大学大学院医学研究科先端緩和医療学分野特命教授。長野県諏訪市出身、神戸市在住。

アドバンス・ケア・プランニング

 厚生労働省は2014年度、人生の最終段階における医療体制整備事業を開始。患者や家族の意思決定を支援する相談員養成を目指す。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)が研修を実施している。

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