医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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神戸大大学院医学研究科准教授 高橋裕さん
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神戸新聞NEXT
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 長寿は誰もが願いますが、不幸を感じる時間が大半では意味がありません。でも、人間は感情を持つ動物。より多くの幸せを感じて長生きすることが理想ですが、生活の中で悲しみや怒りなどの感情に振り回され、ストレスから逃れることはできません。

 感情とそれに対する身体的反応には、自律神経系や内分泌系が深く関わっています。特に内分泌系の主役となるのがホルモンで、闘争に必要なアドレナリン▽ストレスに関わるコルチゾール▽気力や体力の維持に大切な成長ホルモン▽愛と信頼のオキシトシン-などが代表的です。

 ホルモンは、直面する状況に適応できるように全身に作用し、私たちの心を制御しています。だが、反応が長くなると心身に大きな負担をかける場合もあります。

 例えば、アドレナリンやコルチゾールは怒りや不安などのストレスで分泌されます。血圧や血糖を上げてエネルギーを動員することでストレスに備えます。急場では必要ですが、この状態が続くと、全身に負担が生じて高血圧や糖尿病、肥満などを引き起こし、寿命を縮めます。

 一方オキシトシンは人とのスキンシップや交流、ペットとの触れ合いで分泌され、愛情や幸せな気分を生みます。最近ではストレスによる障害から臓器を保護する作用があることも分かってきました。

 私たちが幸せに長生きするには、心身に負担をかけるストレスホルモンをできるだけ出さず、幸せな気持ちを招いて体を守る愛情ホルモンのオキシトシンをたくさん出すことが大切です。

 そのためには怒らないことが重要です。怒りを感じるとアドレナリンが分泌されますが、深呼吸をして10秒数え、相手や状況を理解するように努めれば多くの場合は怒りが静まり、分泌も収まります。

 人は大脳皮質、特に前頭前野を発達させることで理性を持ち、動物のような反射的な行動を制御して他人とうまく付き合えるように進化しました。

 「人は人、自分は自分」と割り切って深刻に考えず、ストレスを感じないように努めてください。家にこもらず多くの人と関わり、家族や恋人との時間や触れ合いを大切にしてください。

 運動や好きなことに没頭することもよいでしょう。ノルアドレナリンやセロトニンといった神経伝達物質が精神状態を整え、ストレスも減る利点があります。「ストレスホルモンを減らして愛情ホルモンを増やす」。幸せで健康な長寿につなげましょう。

 (聞き手・篠原拓真、協力・兵庫県予防医学協会)

【たかはし・ゆたか】1963年、大阪府吹田市生まれ。神戸大医学部卒。米セント・ジュード小児研究病院研究員、神戸大医学部付属病院内分泌内科長などを経て、2014年から現職。日本内分泌学会の幹事なども務める。

高橋さんが勧める三つの作法

一、怒りを静めて、ストレスを制御

一、触れ合いを大切にし、愛情ホルモン増やそう

一、趣味への没頭や運動で気分転換

ホルモン

 脳の下垂体や膵臓(すいぞう)などの内分泌器から放出される物質で、体内に100種類以上があるとされる。その多くは血液によって他の組織や器官に運ばれ、生命活動に必要な機能調節などに作用する。

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