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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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石塚君予さん
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神戸新聞NEXT
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 言語聴覚士は脳卒中などで言語障害になった患者さんのリハビリや、難聴児や発達が遅れがちな子どもの言語指導をするのが主な役割でしたが、最近は食べ物や唾液を飲み込む「嚥下(えんげ)」の訓練に携わる機会が増えています。

 背景にはお年寄りの「誤嚥(ごえん)性肺炎」の増加があります。食べ物や唾液は本来なら食道に入ります。ところが、うまく飲み込めずに気管に入ると、一緒に流れ込んだ細菌が気管から肺に侵入し、肺炎を引き起こすことがあります。飲み込む力は加齢とともに低下しがちで、高齢者が発症する肺炎のうち、7割は誤嚥が原因といわれています。

 予防策はいくつかあります。一つは口の中の状態をよくすること。誤嚥性肺炎の患者さんの中には、入れ歯が合っていなかったり、入れ歯がないのに無理に飲み込んだりする人も多く見られます。定期的に歯科に行くことが大切です。また、就寝中に唾液を誤嚥することもありますが、歯磨きやうがいで口の中を清潔にすると発症率が下がったという報告もあります。

 水分もしっかり取りましょう。脱水状態だと、細菌が細胞に入って炎症を起こしやすくなります。3度の食事に加え、午前10時と午後3時にコップで1杯ずつ飲めば最低限の水分は取れます。

 ただ、さらっとした水やお茶の方が飲み込むタイミングがずれやすく、気管に入りやすくなります。誤嚥を起こしやすい人は、薬局などで販売している「とろみ剤」を混ぜると上手に飲み込めます。

 飲み込みをスムーズにするため、食事前に首や口、舌を動かす「嚥下体操」も効果的です。例えば、首を左右にぐるっと回したり、大きな声で「あ」「ん」と繰り返したり、舌を出して引っ込めたり-といった具合です。

 食べやすい姿勢でゆっくりと食事をすることや、体力を維持することも重要です。仮に誤嚥をしても、体力があれば肺炎にならない可能性が高まりますし、発症しても治りやすいからです。

 そして、誤嚥予防に限りませんが「仲間」も大事だと思います。長期に言語障害で訓練を受ける場合、個別訓練よりもグループ訓練の方が実用的なコミュニケーション能力が改善する傾向にあります。地域コミュニティーの活動などに参加し、人と関わることは健康長寿につながるでしょう。(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【いしづか・きみよ】1963年、西宮市生まれ。大阪教育大特殊教育特別専攻科修了。88年から関西労災病院に勤務し、2005年から主任言語聴覚士。日本言語聴覚士協会員、日本摂食嚥下リハビリテーション学会員。

石塚さんが勧める三つの作法

一、歯磨きやうがいで口の中を清潔に保つ

一、水分を取り、おかずは自分にあった硬さや大きさで

一、自分のペースで継続的な体力づくりに取り組む

食べやすい姿勢

 背もたれのあるいすに深く腰をかけ、足は床につける。背筋は伸ばし、あごを軽く引いてやや前かがみに。テーブルの高さは、腕を乗せて肘が90度曲がる程度が理想。

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