サラリーマン時代から陸上のトラック競技を始めて、30年以上にわたって、兵庫マスターズ陸上選手権に出場しています。84歳の今年も800メートルを3分30秒で走りきりました。
親からいただいたこの体をどうすれば長持ちさせ、満足できるかと思うようになったのは、近年のことです。これまでの積み重ねで何となく来ましたが、本当の意味での健康的な生活はこれからではないかと思います。
長生きの秘訣(ひけつ)を語るにはまだまだですが、どんな形でもとにかく体を動かすことです。まず歩くこと。その延長線上に走る。決して速く走る必要はありません。
私の生活習慣を紹介すると、午前5時半には目覚めて、布団の中で軽く手足の屈伸をし、血圧、体重などを測定し、片道約2キロの神社まで1キロ8分ほどのペースでジョギングします。行き交う人との「おはよう」のあいさつが気分を爽快にしてくれます。
その後、公園でラジオ体操をして、自宅の車庫で腕立て伏せ50回、腹筋20回をこなします。80歳で免許をお返ししたので、車庫に車はありません。夕方にも5~8キロのジョギングをします。
健康寿命を延ばすためには、自然体で何か自分に合った趣味を見つけて、無理のないように楽しく継続することが大切だと思います。素人の知識で判断することなく、定期健康診断を受けることも大事です。過信は禁物です。医師を信頼し、アドバイスを忠実に守ることです。
走り始めてからは、悪かった肝臓の数値は改善し、悩まされていた肩こりや便秘も解消しました。走ることは筋肉や内臓筋を強くし、血流をよくすることで循環機能を活性化してくれると思います。
私は走ることが唯一の楽しみ、生きがいとして頑張っています。少なくとも、母が逝った90歳になるまでは走り続けたいという目標を掲げています。(聞き手・森本尚樹)
【やまもと・つたえ】1931年生まれ。44歳で陸上競技を始め、兵庫マスターズ選手権では800、1500、3000メートルで大会記録を持つ。
マスターズ陸上
日本の場合、18歳以上から参加でき、各種目で5歳刻みのクラスに分かれ、記録更新や上位入賞を目指す。兵庫でも毎年秋に大会が開かれ、今年は625人がエントリーした。