医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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藤野英己さん
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藤野英己さん
【体幹筋(脊柱起立筋)のトレーニング】両手を上げて左右に動かす。肩甲骨を動かすのがポイント
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【体幹筋(脊柱起立筋)のトレーニング】両手を上げて左右に動かす。肩甲骨を動かすのがポイント
【内側広筋のトレーニング】軽く曲げた膝の下にタオルを入れ(上)、押し込むように膝を伸ばす(下)
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【内側広筋のトレーニング】軽く曲げた膝の下にタオルを入れ(上)、押し込むように膝を伸ばす(下)

 ヒトの筋肉は「赤筋線維(せっきんせんい)」と「白筋(はっきん)線維」という2タイプの筋線維でできています。赤筋線維の比率が高ければ「赤筋」、白筋線維が高ければ「白筋」と呼びます。このうち、健康長寿にとって大切なのが赤筋です。姿勢を保ったり、関節をうまく動かしたりと、主に日常生活レベルの活動に使われるのがこの筋肉です。

 もう少し詳しく言うと、赤筋は力が小さいけれど、疲れにくく、長い時間、収縮することができます。一方、白筋は力は大きいが、すぐに疲れる。陸上選手で例えると、持久力が必要なマラソン選手は赤筋の比率が高く、瞬発力が必要な短距離選手は白筋の比率が高いと言えます。

 白筋は通常、加齢とともに減っていきますが、これは自然な流れです。高齢になれば激しい運動をする機会も減るので、白筋が減っても心配はいりません。注意が必要なのは赤筋の減少です。使わない筋肉は減ってしまいます。

 では、赤筋をどう維持、強化するか。まずチェックしてほしいのが、膝(ひざ)の上にある「内側広筋」です。この筋肉が減ってしまうと、歩行が困難になります。鍛え方としては、例えばこんな方法があります。床に座って脚を伸ばし、巻いたタオルを膝の下に置く。その状態で膝を軽く曲げ伸ばしし、タオルを床に押しつける。すると、内側広筋が硬くなるのが分かると思います。

 ふくらはぎのうち、骨の近い部分にある「ヒラメ筋」も重要です。いすの背もたれに手を置いて立ち、かかとが床から離れる程度に軽く上げればトレーニングになります。上半身では、脊椎に細かく付いている体幹筋(脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん))が姿勢を保つ上で大切。いすに座って両手を広げ、肩甲骨が動くのを確認しながら上げ下げしたり、左右に傾けたりすれば鍛えられます。

 いずれの動作も大きな負荷をかける必要はありませんが、短時間では効果が上がらないので少し長い時間をかけて繰り返してください。

 私たちは摂取した栄養素を分解してエネルギーを作り出しています。栄養状態が悪い中で運動すると、筋トレをしても逆効果になってしまうので注意してください。一般的にはタンパク質の摂取が必要になりますが、腎臓の機能が弱まっている方が過剰に取ると体にマイナスです。腎臓がしっかり働いているか、医師にチェックしてもらいましょう。(聞き手・田中陽一、協力・兵庫県予防医学協会)

【ふじの・ひでみ】1965年、熊本県大津町出身。岡山大大学院医歯学総合研究科博士課程修了。姫路独協大医療保健学部教授、米国カリフォルニア大ロサンゼルス校研究員などを経て、2009年から神戸大大学院保健学研究科教授(16年に生命・医学系保健学域に改組)

藤野さんが勧める三つの作法

一、日常生活に大切な赤筋を鍛える

一、運動をするときは低負荷で長く続ける

一、腎機能に注意しながらタンパク質を摂取する

赤筋を強化する食品

 ワイン、コーヒーなどに多く含まれるポリフェノールや、サーモンやエビ、カニに含まれるアスタキサンチンは効果的。肉、魚類に豊富な「ロイシン」と呼ばれるアミノ酸も筋肉の強化を促す。

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