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長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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掛地吉弘さん
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掛地吉弘さん
腹腔鏡手術のイメージ。小さな傷からお腹の中をのぞき、小さな器具で手術するので、体の負担が少ない(掛地吉弘・神戸大教授提供)
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腹腔鏡手術のイメージ。小さな傷からお腹の中をのぞき、小さな器具で手術するので、体の負担が少ない(掛地吉弘・神戸大教授提供)

 日本人の平均寿命は、男性が80・8歳、女性87・1歳です。では80歳を超えて、がんをはじめとする病気が見つかったら、どうしますか?

 「もう平均寿命に近いから」と諦める必要は全くありません。80歳の人があと何年生きられるか-を表すと、男性が平均8・9年、女性が11・8年となり、平均寿命より延びます。つまり80歳まで生きられる人は元来、丈夫な人なので、病気を治せば、まだまだ元気でいられる可能性が高いのです。

 確かに、かつては80歳を超えて手術をするケースは限られていました。しかし神戸大病院外科の場合、今や手術を受ける人の1~2割は80歳以上です。しっかりと治療し、元気で生き生きとした生活を取り戻しましょう。

 治療の進歩には、目を見張るものがあります。

 一生のうちにがんになる人は、男性で63%、女性で47%です。けれどもがんで亡くなる人はといえば、男性25%、女性16%で、割合は大きく下がります。

 日本人に多いがんの1、2番目は、大腸がんと胃がんですが、いずれも5年生存率は70%を超えています。手術ができれば、さらに生存率が上がるというデータも示されています。がんは治せる病気になっているのです。

 体の負担が少ない治療法の普及も進んでいます。胃がんでいえば、20年ほど前まで、開腹手術がほとんどでした。ところが今や開腹手術をするのは3分の1だけ。傷が小さくて済む腹腔(ふくくう)鏡による手術が増え、3分の1を占めます。

 そして残りの3分の1は、検査と同じように胃カメラを飲み、胃の粘膜を削るだけで治療が終わります。胃を切除しないので、体重の減少も避けられます。

 また大腸がんや食道がんでも、内視鏡による手術が、それぞれ8~9割を占めるようになっています。

 こうした負担の少ない治療を選択しようと思えば、病気を早期に見つけることが大切になります。

 バランスのとれた食事を楽しみ、規則正しいお通じがあれば、普段はあまり消化管の病気を心配しなくてもよいですが、やはり定期的な検診は欠かせません。便潜血の検査は毎年行い、可能であれば、胃カメラの検査は年に1回、大腸カメラは2年に1回程度のペースで受けるのがよいでしょう。(聞き手・武藤邦生、協力・兵庫県予防医学協会)

【かけじ・よしひろ】1961年、北九州市出身。87年、九州大医学部卒。九州大講師、助教授などを経て、2012年から神戸大教授(食道胃腸外科)。日本消化器外科学会理事。神戸市中央区在住。

掛地さんが勧める三つの作法

一、バランスの取れた食生活を楽しむ

一、定期的ながん検診を受ける

一、「年だから」と諦めず、しっかり治療する

がん早期発見の重要性

 胃がんの場合、最も早期のⅠ期では5年生存率は98.1%。Ⅱ期66.4%、Ⅲ期47.3%と病気が進むにつれて下がり、離れた臓器に転移するなど最も進行したⅣ期では7.3%にまで落ちる。同様の傾向は、どのがんにもある。

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