医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
  • 印刷
荒川創一さん
拡大
荒川創一さん
「やる気が起きない」「筋力が落ちた」-。LOH症候群は40代以降で発症するとされる=神戸市内(撮影・大森 武)
拡大
「やる気が起きない」「筋力が落ちた」-。LOH症候群は40代以降で発症するとされる=神戸市内(撮影・大森 武)

 更年期障害は、50歳前後の閉経期の女性に現れることが知られていますが、男性にも起こります。加齢男性性腺機能低下(LOH=ロー)症候群といい、何となく元気がなくなり、顔の火照り、不眠、集中力や性欲の低下などの症状が現れます。日々の活動や仕事に悪影響を与え、生活の質を下げる要因になるので、健康長寿の実現には、LOH症候群への対応も重要といえます。

 原因は、男性ホルモン「遊離テストステロン」の減少です。主に精巣で作られ、ひげや陰毛の成長、性欲の誘発、闘争心や判断力の活性化などをつかさどっています。20代をピークに分泌量は徐々に減り、老化現象のため一度減ると戻りません。減少のペースはさまざまで、70代でも30代と分泌量が変わらない人もいれば、40代で大幅に減って発症する人もいます。

 初老期うつ病として見過ごされがちですが、潜在的な患者も含めると、国内に約600万人いるというデータもあります。今は公的保険で治療を受けられるようになりました。

 血液検査で遊離テストステロンの量が基準値以下であれば、2~4週間ごとに筋肉注射をして補います。前立腺がんや睡眠時無呼吸症候群を悪化させる恐れがあるので、これらの患者には行いません。ホルモンを補充すると分泌能力も下がるので、治療は継続するのが原則です。

 自分でも手軽にできる「AMSスコア」というチェック法があります。世界各国の医療機関でも使われており、発汗や睡眠、イライラ、不安感、ひげの伸びや性欲などについて、1点(なし)~5点(非常に重い)で評価します。

 なぜホルモンが減るのかは分かっていません。研究では、ストレスがかかると遊離テストステロンが減る可能性が指摘されています。また、タマネギなどネギ類に含まれる成分や、毎日の軽い運動は、分泌量の維持に効果があるという報告もあります。適度な運動やストレスの軽減は、LOH症候群だけでなく、生活習慣病全般の予防にもつながるので、ぜひ心掛けてほしいと思います。

 診療は、主に泌尿器科で行っています。「男性更年期外来」「メンズヘルス外来」など専門的に治療する外来を設けている医療機関もあるので、気になる人は受診してみてはいかがでしょうか。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【あらかわ・そういち】1952年大阪市生まれ。鹿児島大医学部卒。神戸大病院感染制御部長、同大特命教授(腎泌尿器科学分野)などを経て、2016年から現職。日本泌尿器科学会指導医。西宮市在住。

荒川さんが勧める三つの作法

一、適度な運動を習慣付け、ストレスのない生活を

一、40歳以上の男性の活力減退はLOH症候群を疑う

一、AMSスコアで「重度」なら専門外来で受診する

LOH症候群のチェック法

 心理、身体、性機能に関する17項目の質問票で、AMSスコアと呼ばれる。27~36点は軽度、37~49点は中等度、50点以上は重度と判定される。日本泌尿器科学会などが2007年にまとめた手引にも採用されている。

長寿の作法の新着写真
長寿の作法の最新
もっと見る

天気(7月6日)

  • 26℃
  • ---℃
  • 80%

  • 29℃
  • ---℃
  • 80%

  • 26℃
  • ---℃
  • 90%

  • 26℃
  • ---℃
  • 90%

お知らせ