医療

長寿の作法
医療や福祉現場で活躍する人々が、健康寿命を延ばす工夫を紹介します。
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浅香隆久さん
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浅香隆久さん
ベトナム北部のコミューン・ヘルスセンター。1万カ所以上あり、国民の健康を支える=2009年11月(浅香氏提供)
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ベトナム北部のコミューン・ヘルスセンター。1万カ所以上あり、国民の健康を支える=2009年11月(浅香氏提供)

 日本ほど健康長寿に向けたサポートのある国はないでしょう。欧米や東南アジアなどの在外公館の医務官として、20年余り海外で暮らしてきました。さまざまな国を見てきた中で、印象に残っているのがベトナムです。

 1人当たりの平均所得は日本の20分の1以下ですが、平均寿命は76歳で日本の84歳とそこまで大きな差はありません。病院で特別に高度な医療が受けられるわけではなく、日本から医療技術や教育を導入するお手伝いもしてきました。

 ただ、日本の保健所のような「コミューン・ヘルスセンター」が国内に1万カ所以上あるのです。地域の人たちが予防接種や妊産婦健診などに通い、健康を支えてもらっています。毎日のように朝や夕方、中高年や高齢者たちが路上にネットを張って、バドミントンを楽しむのも当たり前の光景でした。

 日本には、誰もが安価で適切な医療を受けられる国民皆保険制度があります。さらに、メタボ健診と呼ばれる特定健診も40~74歳の公的医療保険の加入者を対象に行われています。糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病のリスクを知ることができます。問題があれば、生活改善のサポートを受けられます。

 がん検診も市町ごとに行われています。がんは国民の2人に1人がかかり、3人に1人が亡くなる病気になっています。早期発見、早期治療で治る可能性は高まります。国はがんで亡くなる人を減らそうと、胃がん、子宮頸(けい)がん、肺がん、乳がん、大腸がんの検診を受けることを勧め、公的な財政補助もあります。受診者の自己負担は市町やがんの種類にもよりますが、無料から2千円ほどで済みます。

 これほどに病気予防のための検査を公的に行っている国は先進国でもわずかです。それなのに受診率は、特定健診で5割弱、がん検診ではどのがんも4割前後にとどまっています。国が目標とする特定健診70%、がん検診50%には遠く及んでいません。

 受診率が増えない理由の一つに、受診後に、どこの医療機関に行けばいいのかが分からないことがあるのではないでしょうか。まずは、かかりつけ医を持つことです。結果の善しあしに一喜一憂するだけでなく、かかりつけ医でアドバイスを受けて、生活習慣を見直す。日頃からの運動も心掛ければ、日本の健康長寿はまだまだ延びていくはずです。(聞き手・山路 進、協力・兵庫県予防医学協会)

【あさか・たかひさ】1952年大阪府東大阪市生まれ。神戸大医学部卒。神戸市立中央市民病院(当時)循環器内科医、フィリピン、米国などの大使館医務官を経て、2015年に兵庫あおの病院(小野市)へ。17年4月から現職。神戸市中央区在住。

浅香さんが勧める三つの作法

一、かかりつけ医を持ち、健康に気を配る

一、対象年齢の人は、特定健診とがん検診を受ける

一、毎日、一定距離を速めに歩くなどの運動を心掛ける

国推奨のがん検診(対象、周期、内容)

 胃=50歳~、2年、エックス線か内視鏡検査▽子宮頸=女性20歳~、2年、視診と細胞診・内診▽肺=40歳~、毎年、エックス線検査とたんの細胞診▽乳=女性40歳~、2年、マンモグラフィー▽大腸=40歳~、毎年、便潜血検査

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