記事特集
震災の経験や教訓を伝える語り部のあり方が、曲がり角に立っている。各地の被災地で語り部の話を聞きに来る訪問者が減ってきた。時間とともに被災地の面影が薄れ、復興の今を知りたいという聞き手のニーズに応えきれていない現状もある。阪神・淡路大震災の語り部は、異なる立場の人が体験した震災も加え、語りの幅を広げるなど、関心を高めようと模索を続けている。関係者は「被災地の語り部が交流し、学び合いを深める必要がある」と訴える。(金 旻革)
東日本大震災で被災した東北地方では、語り部の利用数が激減している。「利用者が聞きたい話を語り部が十分に語れていない」。神戸大地域連携推進室学術研究員の山地久美子さん(災害社会学)は語り部側の課題をそう指摘する。
宮城県東松島市では、団体バス客を対象に語り部の町民ボランティアが被災地を案内。2013年度は442団体1万2310人が利用したが、数は年々減り17年度は172団体3627人と7割減。同県亘理(わたり)町でも語り部の利用者数は大きく減少している。
東松島市は津波などで約1100人が犠牲になったが、震災から7年が経過し被災の惨状は見えにくくなった。高台への集団移転が進み復興の動きは活発に。訪問者から復興状況に関する質問が増え、対応に苦慮する語り部が出ているという。山地さんは「ニーズに応えられなければ、先の災害に備えるための教訓が届かない」と危惧する。
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聞く側が求める話をいかに語るか。北淡震災記念公園(兵庫県淡路市)で阪神・淡路の語り部を務める米山(こめやま)正幸さん(52)は、自身の体験以外も語れるよう準備に尽力する。
26人が死亡し、建物の8割に当たる671棟が全半壊した淡路市(旧北淡町)富島地区で被災。消防団員として人命救助に奔走した。語り部になったのは13年前。最初は自身の体験を語るだけだったが、次第に自治会長や民生委員などの取り組みや経験談を求められるようになった。
学校教諭や医師、社会福祉協議会職員らに聞き取りを続け、語り部活動に生かしている。「自分の体験ではなくても、学ぶことで語ることができる」
同公園内の野島断層保存館の入館者数は開館年度(1998年度)の280万人から17年度で13万人まで減少した。一方で語り部の利用数は、この10年ほど横ばいを維持している。米山さんは「語り部は次の被災地の命を守るために話す。語り部同士の交流を広げ、語る方法や意義を共有することが大切だ」と話した。
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12月初旬には全国の語り部が集う国際シンポジウムが熊本県内である。米山さんと山地さんが実行委員会を担い、各地の語り部と記憶の継承に向けた課題を話し合う。
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