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避難経路を示す緑色のラインに「見直しが必要」と訴える上野恵司さん=淡路市志筑
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避難経路を示す緑色のラインに「見直しが必要」と訴える上野恵司さん=淡路市志筑

 「子どもの命を守りたいなら、考え直すべきや」。兵庫県淡路市立志筑小学校の図書室に、怒気をはらんだ言葉が響いた。声の主は近くで町内会長を務める上野恵司さん(60)。昨年11月の避難訓練後、意見交換の場で避難先の見直しを求めた。「災害時のパニックは経験した者にしか分からん」。上野さんは阪神・淡路大震災で父嗣郎さん=当時(74)=を亡くした。

 あの朝、上野さんは経営する飲食店で寝入っていた。ドーン。突然の衝撃だった。大型冷蔵庫が宙に浮き、テーブルにしがみつくのがやっと。「家族は無事か」。自宅までの数百メートルが長く感じた。ようやくたどり着いたが、あるはずの家は押しつぶされ、1階にいた父は冷たくなっていた。

 仮設暮らしを経て被災者向けの市営住宅へ。高齢者が多く、40代半ばで町内会長となり、防災にも関わるようになった。避難訓練は1キロ先の高台を目指し、400人を超す児童と園児が移動した。上野さんは「災害時は多くの住民や車が道をふさぐ。平常心を失った子どもの行動は予測できない」と訴え、「小学校の隣の大学なら、鉄筋4階建てで安全だ」と説いた。

 震災から24年の朝は自宅で静かに迎えた。高齢化が進む市営住宅は安否確認などの見守り機能を備える。「夜中に緊急ブザーが鳴るかと思うと、酒も飲めん」と笑う上野さん。「災害なんて、できれば経験したくなかった。でも経験した者にしかできないこともあるから」とつぶやいた。(内田世紀)

2019/1/17

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