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銘板に妹の名を見つけ、優しく指でさする細木知恵さん(左)と娘の香保瑠さん=17日午前、神戸市中央区加納町6(撮影・中西大二)
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銘板に妹の名を見つけ、優しく指でさする細木知恵さん(左)と娘の香保瑠さん=17日午前、神戸市中央区加納町6(撮影・中西大二)

 「誰も忘れてないよ」。神戸市東灘区に住んでいた妹の三枝さん=当時(31)=を亡くした高知県須崎市の細木知恵さん(61)は4年ぶりに神戸・東遊園地で手を合わせた。傍らには、「かわいがってくれた大好きな叔母」に会うために初めて訪れた娘の香保瑠さん(30)=岡山県=もいた。

 仲良し三姉妹の長女が知恵さんで、三枝さんは末っ子。あの年の正月も、福井県に嫁いだ次女も含め3人が高知市の実家に集った。ただ1人独身だった三枝さんを「はよ結婚しいや」とからかっては笑い合った。

 実は三枝さんは当時、結婚を考えている人がいると次女に打ち明けていた。新たな幸せがすぐそこまで近づいている、はずだった。

 にぎやかなだんらんのわずか2週間後。神戸で激震の知らせを受け三枝さんに電話をかけ続けたが、つながらない。「どこかに避難しているはず」。淡い期待は2日後、打ち砕かれた。

 様子を見に行った大阪の親族が、真っ暗なマンションの一室で、テレビの下敷きとなり冷たくなった三枝さんを見つけた。駆け付けた両親は神戸で火葬せず、遺体のまま実家に運んだ。娘を遺骨にして連れ帰るのを、どうしても嫌がった。

 三枝さんは生前、東京に行きたがったが、少しでも近くにいてほしい母を気遣い、神戸で仕事に就いた。「私があんなことを言わなければ」。自分を責めた母は若年性の認知症を患い、7年前に亡くなった父を追うように3年前、逝った。

 「みえちゃんをいつも心配していたお母さんが亡くなったよ。そっちで一緒にいるのかな」

 知恵さんは昨春、長年勤めた小学校教諭を定年退職した。「これからは毎年来るからね」。「慰霊と復興のモニュメント」の銘板に名前を見つけると、甘えん坊だった妹をなでるように、優しく指でさすった。

(霍見真一郎)

2019/1/17

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