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借り上げ復興住宅の退去問題を訴える著書を手にする市川英恵さん=神戸市中央区内
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借り上げ復興住宅の退去問題を訴える著書を手にする市川英恵さん=神戸市中央区内

 阪神・淡路大震災の被災者向け「借り上げ復興住宅」の入居者が、兵庫県神戸、西宮市から裁判で退去を迫られている問題を巡り、神戸市灘区の団体職員市川英恵(はなえ)さん(25)が、入居者や有識者らの主張を示す本「住むこと 生きること 追い出すこと 9人に聞く借上復興住宅」を出版した。「住み慣れた場所からお年寄りを追い出すと、命に関わる。被災者支援は恩恵ではなく権利」。漫画も交え、対話形式で分かりやすく伝える。(小林伸哉)

 神戸大在学時、復興住宅の「ふれあい喫茶」で高齢者を支援し、借り上げ復興住宅の退去問題を知った。コミュニティーからの分離や健康上の不安を聞き取り、卒論にまとめた。

 著書は、卒論を基に法制度上の問題点などを紹介し、2017年春に出版したエッセー風の「22歳が見た、聞いた、考えた『被災者のニーズ』と『居住の権利』-借上復興住宅・問題」(クリエイツかもがわ)に続く2作目となる。

 裁判の傍聴支援をしてきた市川さんは、提訴された心労などから体重が22キロ落ちたという被災者らを目の当たりにし、胸を痛めた。借り上げ期間後の被災者に退去を命じる判決が続き「私に何ができるのだろう」と思い悩み、執筆を決意した。

 新刊では、住まいを基本的人権とする「居住福祉学」を提唱し、昨年7月に死去した神戸大の早川和男名誉教授や医師らが、裁判で出した意見書を紹介。高齢者の意に反する転居が、転倒や認知症、孤独死のリスクを高めると指摘する。

 本書に登場する神戸大大学院の井口(いのくち)克郎准教授(社会保障)は、国際人権規約で社会保障サービスの平等な受給などを定める「健康権」が「『健康を害する可能性のある』行為を禁止している」として、退去を迫る施策の違法性を主張。全世帯の継続入居を決断した中川智子宝塚市長は「入居者のいのちと暮らしを守る使命が行政にはある」と指摘する。

 市川さんは「いつどこで誰が災害に遭うか分からない。健康で文化的な生活を送るために『住まいは人権』と多くの人に知ってほしい」と力を込める。

 A5判、92ページ。1296円(税込み)。漫画家寺田浩晃さんが前作に続き、イラストを担当。クリエイツかもがわから発行。既に書店に並ぶ。問い合わせは編集に関わった兵庫県震災復興研究センターTEL078・691・4593

2019/1/16

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