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上野志乃さん
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上野志乃さん
製本化したパラパラ絵本を手に「命、家族の大切さを伝えたい」と話す上野政志さん(左)とデザイナーの本下瑞穂さん=兵庫県佐用町
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製本化したパラパラ絵本を手に「命、家族の大切さを伝えたい」と話す上野政志さん(左)とデザイナーの本下瑞穂さん=兵庫県佐用町
出版されたパラパラ絵本
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出版されたパラパラ絵本
出版されたパラパラ絵本
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出版されたパラパラ絵本

 成人式に出席したわずか2日後に阪神・淡路大震災で亡くなった女子大学生が生前描いていた「パラパラ絵本」が、震災から二十年余りを経て出版された。原本は、倒壊したアパートのがれきの中から父親が見つけた。記されていたタイトルは「空を泳ぎたかった魚の話」。作品には家族への思い、将来への希望が詰まっていた。(中島摩子)

 神戸大発達科学部2年だった上野志乃さん=当時(20)。神戸市灘区琵琶町の木造アパートで1人暮らしをしていた。24年前の1月15日、故郷の兵庫県南光町(現佐用町)で成人式に出席。翌16日夕、「友人と宿題をする約束がある」と神戸に戻った。日をまたいで宿題を仕上げ、こたつで寝ていて激震に襲われた。

 18日朝、駆け付けた父の政志さん(71)=兵庫県佐用町=が冷たくなった志乃さんを見つけた。葬儀後も連日のようにアパートの跡地で遺品を探し続け、その中に原本があった。

 約60枚の絵をめくると、1匹の魚がこいのぼりに。そこにパートナーと子どもらしき2匹も加わり、家族で楽しげに空を泳ぐ-。志乃さんは学校のリポートに「家族は絶対的な存在である」と書いたことがあった。政志さんには、絵の中の魚が娘のように思えた。

 出版のきっかけは、龍野高校(たつの市)で志乃さんの5学年後輩だった宍粟市出身のデザイナー本下瑞穂さん(39)=宝塚市=との出会いだった。

 本下さんは高校時代、志乃さんも通った姫路市の画塾で学んだ。面識はなかったが、塾に志乃さんの作品が飾ってあり、「上手で憧れていた」。震災で亡くなったと知り、志乃さんを思っては「努力しないと」と自分を奮い立たせてきた。

 2年前、志乃さんについて書かれた新聞記事を目にし、思い立って政志さんと面会。アパート跡で共に手を合わせ、パラパラ絵本の原本を見せてもらった。

 「この作品は生きている」。そう感じ、本にすることを政志さんに提案。がれきの中で付いた汚れやしわも復元し、志乃さんの誕生日に合わせ昨年5月19日に100冊を自費出版した。

 「いろいろな人の目に触れることで、娘が生きていると思える」と政志さん。地元佐用町などの図書館に寄贈し、震災について学校で講演する際には子どもたちに紹介する。「震災を知らない世代が命を考えるきっかけになれば」と願う。

2019/1/14

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