連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

記事特集

  • 印刷
来年2月に発行する記録集「筆跡をきく」のゲラ刷りを持つ高森順子さん=神戸市東灘区向洋町中
拡大
来年2月に発行する記録集「筆跡をきく」のゲラ刷りを持つ高森順子さん=神戸市東灘区向洋町中
高森一徳さん
拡大
高森一徳さん

 市民がしたためた阪神・淡路大震災の手記をまとめ、これまでに計11巻を発行してきた「阪神大震災を記録しつづける会」が来年2月、被災者の記録集を5年ぶりに出す。つづられているのは、過去に手記を寄せた遺族ら6人が執筆を決断した背景。亡き娘の生きた証しを残したい。自分の言葉で伝えたい-。過去の手記とは異なる心のひだが読み取れ、インタビューの担当者は「被災者一人一人の『全体像』を感じ取ってもらいたい」としている。(金 旻革)

■遺族ら6人 心のひだ肉薄

 12巻目のタイトルは「筆跡をきく」。インタビューは同会事務局長で愛知淑徳大助教の高森順子さん(35)=名古屋市=が担った。同会はもともと高森さんの伯父、一徳(かずのり)さん=2005年死去、当時(57)=が「公にならない声を残す必要がある」との思いから立ち上げ、震災直後から手記を公募。05年までに計10巻を発行し、438編を収録した。

 「10年で10巻」を目標に掲げていた一徳さんは第10巻の完成直前に急逝。その後、東日本大震災の被災地で手記が読み継がれていることを知った順子さんが活動を引き継いだ。15年には阪神・淡路20年の節目に合わせて10年ぶりとなる手記集を出し、執筆者の歩みをつむいだ。

 今回、記録集の発行を決めた契機は歳月の流れにある。同会は毎年2月、手記を書いた被災者の交流会を開く。10年前の参加者は約30人。それが昨年は約10人にまで減った。高齢で亡くなるなどしたためだ。

 記録を残す必要性をあらためて感じた順子さんは新たな切り口を模索。その時、執筆の経緯が手記には反映されていないことに気付いた。「手記で事実を忠実に記す人が、会話ではとても穏やか。まだ書けていない被災者の一面があるのではと感じた」と振り返る。

 インタビューは昨年7月に始まった。応じた一人、神戸市灘区の女性(60)は、当時5歳だった長女を亡くした。聞き取りには「(長女の)名前が消えることがつらかった。書かなければ何も残らないと思った」と吐露。周囲に誰もいない一人だけの時に手記に向かい、1行書き進めるごとに涙があふれたと振り返った。

 「手記に表れない遺族の思いに触れられた」と順子さん。一方、震災から間もなく四半世紀となる中、被災者が記憶を呼び覚ますことが難しくなっていることも実感した。「聞き手、読み手の双方がいなければ阪神・淡路の記憶はいつか無くなってしまう。多くの人が震災に関心を持ち続けてほしい」と願う。

 記録集は500部を発行予定。税込み1500円。問い合わせは同会のホームページから。

2019/12/19

天気(7月13日)

  • 24℃
  • 21℃
  • 70%

  • 23℃
  • 19℃
  • 70%

  • 24℃
  • 22℃
  • 70%

  • 22℃
  • 20℃
  • 80%

お知らせ