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参加者の前で歌唱指導をする安元邦夫さん=神戸市西区曙町、兵庫県立リハビリテーション中央病院
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参加者の前で歌唱指導をする安元邦夫さん=神戸市西区曙町、兵庫県立リハビリテーション中央病院

 阪神・淡路大震災を機に、音楽で心を癒やすボランティアを続ける男性がいる。神戸市須磨区の安元邦夫さん(82)。震災で自宅が半壊する被害に遭いながら、仮設住宅などでハンドベルや電子ピアノの音色を奏でた。街の復興とともに活動の場は高齢者施設などに移り、積み上げた演奏回数は2900回を超える。(千葉翔大)

 「とーしのはーじめの ためしとて-」。今月10日、神戸市西区の福祉施設の一室に懐かしいメロディーが流れた。安元さんの指揮に合わせ、高齢者ら20人ほどがハンドベルを片手に歌声を響かせる。「参加者が少しでも元気になれればうれしいね」。安元さんが笑顔を見せる。

 安元さんは香川県出身で、小学生の頃から音楽が好きだった。演奏に目覚めたのは40歳の頃。長女の音楽教室に付き添ったことがきっかけだったという。自ら楽器を奏でる魅力に気付き、娘と同じ教室でピアノの講座を3カ月間受講。その後も独学で腕を磨いた。

 阪神・淡路があった1995年、安元さんは同市東灘区の自宅に家族を残し、茨城県に単身赴任していた。震災に見舞われた街の様子をラジオで耳にし、辛うじてつながった電話の向こうで妻栄子さん(77)が「えらいことになった」と声を震わせた。家族にけがはなかったが、自宅は半壊の被害を受けた。

 被災地の惨状を目にし、趣味の音楽を生かして被災者の心を癒やそうと決意する。震災の約半年後に退職し、その年の9月からハンドベルや電子ピアノを携えて神戸市内の仮設住宅などを巡った。年に120回ほど活動を重ねたこともあったという。

 安元さんは被災者と直接触れ合う中で、「表面では元気に振る舞っても悩みを隠している人がいる」と感じたという。しかし、レッスンを終えた参加者の表情が明るくなるのを目の当たりにし、音楽の持つ力を実感した。

 仮設住宅が解消してからは、介護施設や病院などにも足を運んだ。現在も年50回ほど活動する。節目の3千回までは残り約100回に迫った。安元さんは「被災者やお年寄りの生きがいを作りたいと思って始め、今は自分自身に張り合いが生まれた。3千回で満足することなく、体が動く限り続けたい」と力を込めた。

2020/1/17

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