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野村さんが以前制作した、氷にろうをかけた作品(野村さん提供)
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野村さんが以前制作した、氷にろうをかけた作品(野村さん提供)
ニューヨークを拠点に活動する野村在さん
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ニューヨークを拠点に活動する野村在さん
17日のパフォーマンスのスケッチ案(野村さん提供)
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17日のパフォーマンスのスケッチ案(野村さん提供)

 神戸市須磨区出身で、米ニューヨーク在住のアーティスト野村在さん(40)が17日、現地のギャラリーで阪神・淡路大震災をテーマにしたパフォーマンスを行う。震災で亡くなった6434人を示す重さ64・34キロの氷の山を設置。鑑賞者一人一人に赤や黄、水色の溶けたろうを乗せてもらい、追悼の思いも込めたアートを制作する。野村さんは「阪神・淡路を思い出し、自然災害と向き合うきっかけにしてもらいたい」と話している。(長谷部崇)

 野村さんは武蔵野美術大を卒業後、英国に留学。トルコの国際芸術祭に出展するなど国内外で活動し、昨年11月からニューヨークに拠点を移している。

 野村さんの作品は個性的だ。展示中に壊れてしまうほど、もろい素材で作った彫刻。粉末や液体が形を変え、消失していく瞬間をとらえた写真。「全てのものはいつか消えてしまう」という思いを、創作物に込めているという。

 神戸市立高倉中学3年の時、阪神・淡路大震災に遭った。自宅は須磨区高倉台。遠くから聞こえてくる「ドンドンドン…」という太鼓のような音で目を覚まし、直後に激震に襲われた。部屋のたんすが倒れてきたが、恐怖で体が動かず、布団もかぶれなかった。余震が続く中、家族と外に出ると、空から降ってきた灰が頭に当たった。遠くの空は火災でオレンジ色。夜が明けても、その日は煙とほこりと灰で太陽が見えなかった。

 「常に人間の生と死や、その間で揺らぐものをテーマにしてきた。それは阪神・淡路を経験したから」と野村さん。

 17日のパフォーマンスは、日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」から依頼を受けて行う。直径1・5メートルの氷の山をギャラリーに設置。3、4色のろうを熱で溶かし、観覧者と氷に乗せていく。氷が溶けた跡に、固まったろうの不思議な形が残るという作品だ。阪神・淡路大震災の解説も用意するという。

 「ニューヨークの友人たちと話していても、阪神・淡路はショックな出来事として彼らの記憶に刻まれている。震災25年の節目に、亡くなった人たちを思い、どのように災害と向き合っていくか、アメリカの人々にも考えてもらいたい」

2020/1/14
 

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