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「阪神淡路大震災よろず相談室」の集いに参加した代表の牧秀一さん(中央左)と、活動を引き継ぐ望月健司さん(同右)=神戸市東灘区(撮影・大山伸一郎)
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「阪神淡路大震災よろず相談室」の集いに参加した代表の牧秀一さん(中央左)と、活動を引き継ぐ望月健司さん(同右)=神戸市東灘区(撮影・大山伸一郎)

 阪神・淡路大震災で被災した独居高齢者らを訪ね、孤立させない取り組みを続けてきたNPO法人「阪神淡路大震災よろず相談室」(神戸市灘区)の活動が来春から、若手に引き継がれる。理事長の牧秀一さん(69)は来年3月末で高齢などを理由に引退。約25年を経て訪問先も減ったが、「最後の一人まで関わる」という同相談室の精神を受け継ぎ、20代のメンバーらが訪問活動を続ける。このほど、牧さんも参加して年末恒例の「集い」が開かれ、被災者やボランティアが培ってきた絆を再確認した。(竹本拓也、中島摩子)

 同相談室は、定時制高校の教諭だった牧さんが、自宅近くの避難所の一角で被災者の悩みに耳を傾けたのが始まり。避難所の閉鎖でいったん活動を終えたが、仮設住宅で孤独死や自殺が相次いだことに心を痛め、1996年に再開した。

 月2回の訪問活動では「なんとなく、ずっとそばにいる」をモットーに、肩肘張らない関係を築いてきた。災害で後遺障害を負った人たちの苦境を訴える活動にも尽力。運動の成果として2017年、身体障害者手帳の申請書類の原因欄に「自然災害」が加わった。

 今月15日、神戸市東灘区であった「みんなの集い」。被災者とボランティアらが心待ちにする“同窓会”で、約20人がギター演奏に合わせ「上を向いて歩こう」を口ずさんだ。食事やビンゴゲームを楽しみ、近況を報告し合った。

 震災で息子2人を亡くし、自身は右足に後遺症が残った神戸市長田区の女性(56)は4年ぶりに参加。「懐かしい顔を見るとほっとする。来てよかったね」と、夫(71)と見つめ合った。

 牧さんは「よいお年を」と笑顔であいさつを締めくくり、自身の引退には詳しく触れなかった。「みんな分かっているから。一生会えなくなるわけでもないしね」。一人一人のそばにさりげなく座り、話に耳を傾けた。

 ピーク時に140人に上った同相談室の訪問先は現在12人。カンパで支えられてきた活動費も家賃などが負担となり今月、JR住吉駅(同市東灘区)近くからHAT神戸の一角に拠点を移した。

 以前より活動規模は縮小したが、「『私は置き去りにされていない』と思ってもらうことが大切。そこから生きようとする力が出てくる」と牧さん。19年度末にNPO法人を任意団体に戻す方針で、運営や訪問活動は、学生時代から相談室に携わる望月健司さん(27)ら7人に引き継がれる。望月さんは「牧さんが25年近く続けてきた活動の重さを実感している」とする。

 一方、牧さんはこの冬、自身が震災20年以降に震災障害者ら22人にインタビューした映像の編集作業に取り組む。被災者の本音を後世に伝えようと、来春にも証言集とDVDを製作する。また引退後も「自分なりの社会貢献を」とし、消防庁が災害の被害状況を公表する際、重傷者のうち後遺症が残った人の内訳を示すよう働き掛けるという。

2019/12/30

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