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「今を楽しく懸命に生きることが大切」と語る瀬尾征男さん=東京都千代田区
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「今を楽しく懸命に生きることが大切」と語る瀬尾征男さん=東京都千代田区
「いのちの授業」に取り組む瀬尾征男さん=東京都新宿区、戸塚第一小学校(同校提供)
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「いのちの授業」に取り組む瀬尾征男さん=東京都新宿区、戸塚第一小学校(同校提供)

 阪神・淡路大震災の発生時に、損害保険会社の神戸支店長だった東京の男性が、都内の小学校で経験を語り継ぐ「いのちの授業」に取り組んでいる。有事にあって業務よりも部下の安全を優先させた采配や、幼少期の戦争体験、近年のがん闘病にも触れて、困難に直面した時の心構えを説く。「自分の命は自分で守る」「良いことの裏には悪いこと、悪いことの裏には良いことが必ずある」と語り掛ける。(佐伯竜一)

 東京都中野区の瀬尾征男(ゆきお)さん(79)。当時、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険)の取締役神戸支店長として、現地対策本部の中心を担った。

 発生時は神戸市中央区の社宅にいたがけがはなく、旧居留地にある支店へ徒歩で出勤した。鉄道は寸断され、家屋やビルが倒壊し、生き埋めの人もいた。電話は不通で近くに知人もおらず「何をしたらいいか。人を助けようとしても一人では何もできないことが分かった」と振り返る。

 職場では、身の安全確保に勝る仕事はないと訴え、業務上の細かい指示を出さず、最低限の優先順位を示して社員に行動を一任した。すると、支店の復旧や被災した顧客への対応などが進んだ。「みんな立派に仕事をしてくれた。生きるために自分で考え、行動し、責任を持つことが重要」と確信したという。

 授業参画は退職後の2015年。震災時に安田火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)の兵庫本部総務課長だった児島正さん(71)=横浜市=が阪神・淡路大震災の語り部をしており、依頼されて活動を始めた。

 授業では戦争の疎開体験も語る。近所の子らにいじめられたが、竹馬や木登りを覚え、やられっぱなしではなくなった。「自分を含め、人の心や体を傷つけてはいけない。こう言えば人がどう傷つくか考えて」と語る。がんになったことも「いい経験」と思えるようになった。「明るく広く前向きに」と訴える。

 児童からは「相手がいじめと感じたらいじめ。人の気持ちに(寄り添えるように)なりたい」などの声が寄せられ、手紙をもらうことも多い。

 授業をサポートする児島さんもがんを経験しており「瀬尾さんの話は年齢に関係なく心に届く。私自身も手本にしている」と語る。

 瀬尾さんは「自分で考えて決めないと動けない。普段から一人ひとりが当事者意識を持ち、命を守ってほしい」と話す。

     ◆

 瀬尾さんは、ひょうご震災記念21世紀研究機構などが阪神・淡路の教訓を後世に伝えるため、地元政財官の関係者に実施したインタビューで、聞き手と語り手の両方で参加した。一企業人の軌跡を1月から経済面、地域経済面で連載する。

2019/12/28

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