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 阪神・淡路大震災で被災した兵庫県と県内12市が復旧・復興関連事業のために発行した県債や市債の返済が、計5826億円分(2018年度決算ベース)残っていることが神戸新聞社のまとめで分かった。当時、復興事業には国からの支援が十分ではなく、各自治体の借金は計3兆1144億円まで膨らみ、地方財政を圧迫。完済には今後20年を見込む自治体もあり、震災から25年を経てもその影響は尾を引いている。(井関 徹、石沢菜々子、末永陽子)

 10年間の復興計画を基に、県内で復旧・復興関連事業に投入された費用は総額16兆3千億円。このうち被災地は計約8兆円を負担し、10兆円近くがインフラ復旧や市街地の復興などに使われた。

 県や被災12市に、こうした事業費を賄うため発行した地方債の発行額を尋ねたところ、概算で計3兆1144億円に上ったことが判明。県分を除くと計1兆8144億円で、2018年度末の残高は同様に計2211億円だった。三木市のみ完済していた。

 2兆3千億円の事業費を担った県は半分以上の1兆3千億円を借金で賄った。貯金に当たる基金の取り崩しや、新たな借金で帳尻を合わせたが、三位一体改革による地方交付税の削減などで財政は危機に陥った。

 08年度から行財政構造改革を開始。11年間にわたり職員定数や給与の削減などを続け、18年度決算で震災後初めて、収入の範囲内で支出が収まる「収支均衡」を達成した。ただ、震災関連の借金は3615億円残っており、将来の借金負担の重さを示す「将来負担比率」は12年連続で全国ワーストが続いている。

 被害が甚大だった神戸市が費やした復旧や復興の事業費は2兆8863億円。このうち約1兆3353億円を市債で対応した。震災後間もなく財政が悪化し、公共事業などの投資的経費を震災前の4分の1程度に削減。近年は改善しているが、復興対策を中心に市債の残高は約1528億円に上り、完済まで10年以上かかる見通しという。

 神戸市に次いで震災関連の借金(約1770億円)が多かった西宮市は今も約163億円の残高を抱える。市債総額の約1割にまで減らしたが、返済は38年度まで続く見込み。担当者は「借金返済の負担で公共施設の建て替えやまちづくりに十分投資できなかった」と影響を明かす。

 宝塚市は市債償還額の2割弱を震災関連が占めており「厳しい状況が続いている。社会保障経費の膨らみもあり、インフラの更新、市内基幹道路の整備などを進めたいが、抑えなければならない」とする。

■停滞から脱却の動きも

 阪神・淡路大震災の影響はいまだに自治体財政にも色濃く残るが、改善が進み、四半世紀続いた停滞からの脱却を図る動きが本格化しつつある。集客で大阪などに後れを取る神戸市は、都心・三宮の再整備などを進める。兵庫県も財政の立て直しにめどが立ったとし、県庁舎の再整備や大規模アリーナの建設検討など大型プロジェクトを打ち出す。

 震災はバブル崩壊後の不況下で起きた。後の東日本大震災で国が行った手厚い支援はなく、被災自治体は復旧・復興事業のため、多額の借金を背負って財政が悪化。リーマン・ショックによる景気悪化もあり、長期にわたって停滞した。

 この間、神戸市の人口は2012年に減少に転じ、15年に福岡市、昨年に川崎市にも抜かれ政令市で7位に転落。同じ被災地でも西宮市などの再開発が先行する中、神戸市は三宮に加え、郊外拠点駅周辺の再整備方針も打ち出し、街の魅力向上に本腰を入れ始めた。

 久元喜造市長は「震災以降、新たな取り組みができず、公共空間が放置されてきた」「神戸は100パーセント復興している」とし「思い切った人口減少対策やまちづくりを進める」と力を込める。

 兵庫県も主要道路の整備に着手し、羽田便就航に向け但馬空港の滑走路延長方針を示すなど、積極投資にかじを切ろうとしている。

 井戸敏三知事は「引き続き慎重な財政運営が必要」としつつ「これまでは大規模プロジェクトより生活再建を優先せざるを得なかった。遅れている社会資本整備やまちづくりへの投資を進めていくことが重要だ」と強調している。

2020/1/19

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