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起業家育成プログラムの成果発表会でロジデリ事業の意義を強調する高田隼渡社長=神戸市中央区波止場町(撮影・長尾亮太)
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起業家育成プログラムの成果発表会でロジデリ事業の意義を強調する高田隼渡社長=神戸市中央区波止場町(撮影・長尾亮太)
フロム神戸本社に記した現在の目標。人材やITを組み合わせ、物流業界に新風を吹き込む=神戸市中央区神若通1(撮影・横田良平)
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フロム神戸本社に記した現在の目標。人材やITを組み合わせ、物流業界に新風を吹き込む=神戸市中央区神若通1(撮影・横田良平)

 「『ロジデリ』は、副業向けの物流求人。求職者は隙間時間で稼ぐことができ、業界の人手不足を副業人材でカバーします」

 昨年12月、神戸市内であった同市と米投資会社「500スタートアップス」による起業家支援の成果発表会。軽貨物運送業「フロム神戸」(神戸市中央区)社長の高田隼渡(はやと)(35)は、IT企業「プラットイン」の社長として、物流業界の新しい求人サービスのロジデリを説明した。

 隼渡は昨年、両者が取り組む起業家育成プログラムに神戸から唯一選ばれた。集中講義や業務改革のワークショップなど、1カ月半にわたる濃密な時間を過ごした。海外や東京の経営者と机を並べ、事業成長を指南される中で「自分が一番下にいる」と実感した。身が引き締まると同時に「世界でも最先端の雰囲気を神戸で味わえている」高揚感に満ちあふれた。

   ◇

 ロジデリは、働き方改革などで空き時間が生じた人と、人手の足りない配送や倉庫業務を結びつける仲介サービス。物流会社が希望の業務や勤務時間・場所を登録し、求職者が条件に合う仕事を探す。昨年、フロム神戸とプラットインの共同事業として専用サイトを開き、育成プログラムの受講を経て事業モデルを磨き上げてきた。都合のいい時間を選んで単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の情報プラットフォームを目指す。

 配送ドライバーはネット通販の増加や労働力人口の減少などで、2028年度には28万人が不足するとの試算もある。ロジデリのサイトは現在、阪神間を中心に140社が登録し、求人数は300件程度。主に経験者やフルタイム勤務者が対象だった従来に比べて求人の門戸を広げた。

 隼渡を突き動かすのは「産業界で配送業者の地位が低い」との思いだ。約10年前、ネット通販各社はスマホ普及に伴う市場拡大の中で「宅配料ゼロ円」をうたった。この陰で配送業者は運賃の値下げを要求され、応じないと取引の縮小や打ち切りに遭った。ロジデリは担い手の裾野を広げ、業界に関わる人口を増やすことで労働環境の改善を促し、地位向上をもくろむ。

 後を継いで10年。プラットインを起こし、温めてきたロジデリ事業が動きだした。「今が一番充実している」と隼渡。父の義文(66)も、当初は「(無謀にも映る)学生時分のやり方を持ち込もうとしていた」と経営に意見していたが、「とにかく懸命なのが伝わってきた」と一切を任せて献身的に支える。「息子はよくやってくれている」。両社合わせた売上高は10年前の約6倍になった。

 「日本一の経営者になる」ため、目標は50歳で売上高1兆円。アマゾン・ドット・コムやグーグルなどの巨大IT企業を倣い、物流業界のインフラに欠かせない存在になることで成長を模索する。

 フロム神戸法人化から10年を迎えた昨年6月。隼渡は神戸・北野坂で義文と酒を酌み交わし、義文が好きなジャズを楽しんだ。「父とは性格が合わない」と言いつつ、自身も2児に恵まれ、親の心境が分かるようになった。「父はまだ66歳。次の10年も一緒に会社を見られたら」と願う。

 震災から四半世紀。父が起業したから今がある。「父とは今が一番仲が良い」。今後も親子二人三脚で。神戸から、飛躍を誓う。=敬称略=(横田良平、長尾亮太)=おわり=

2020/1/16

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