記事特集
「僕たちは、震災を語り継げる最後の世代になる。何があったのか、自分の言葉で伝えないといけない」。東日本大震災で被災した石巻高校の雁部那由多さんが言った。昨年夏、舞子高校環境防災科の生徒が宮城県石巻市を訪れていた。雁部さんの意志の強さに、同科3年の後藤謙太さん(18)は心が動いた。
もともと防災に興味があったわけではない。消防士を志望し、地震のメカニズムに興味があって進学先を選んだ。何を学ぶ学科なのかは詳しく知らなかった。
入学後、校外学習で東北を訪れ、現地の高校生と仲良くなった。中でも後藤さんの意識を大きく変えたのが、同い年の雁部さん。小学5年生で被災し、16歳で「語り部」活動をしていた。
「泥の波が目の前の人を飲み込んだ。手を伸ばしてきたが、その手をつかめなかった」。雁部さんの体験、表情に衝撃を受けた。同時に、同世代の言葉が持つ影響力を確信する。「自分も何か伝えなければ。まずは同じ世代へ」
後藤さんは17日、中央区の人と防災未来センター前で開かれる「ひょうご安全の日 1・17のつどい」で、高校生代表としてメッセージを読み上げる大役を務める。
「東日本大震災の後、メディアが報じる『福島』に疑問があった」と話すのは、同科3年の大坪直人さん(18)。原発事故後、観光客が減り、農作物がまったく売れなくなってしまった福島県。かつて舞子高校を訪ねた福島西高校の生徒は、福島に安全な地域や食べ物があることを調べ、必死で訴えていた。
「一度伝わった情報は一人歩きする。何事も本当かうそかを正しく判断して、正しい言葉で伝えたい」
同じ3年の片山柚希さん(18)は、宮城県の多賀城高校との交流で気づいたことがある。東日本大震災後、「災害科学科」が新設された同校。自然災害や防災を勉強する立場は同じだが、「伝える」という行為には多賀城の生徒と内面の違いがあった。「大きな被災体験のない私たちは、阪神・淡路大震災の質問にためらいなく答えられる。でも、東北にはそうじゃない子もいる」
片山さんは思う。「同じ地域で暮らし、同じ災害に遭っても、心に抱える傷は1人ずつ違う。お互いに何かを教えようとするのではなく、友達同士になったことが励みになる」
東北と神戸の高校生が感化し合う。受け取った思いは、それぞれが見つけた言葉で広がっていく。(勝浦美香)
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