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仮設住宅などでみとった人々の名前を書いた書類に見入る長尾政三さん=神戸市長田区大道通1(撮影・大山伸一郎)
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仮設住宅などでみとった人々の名前を書いた書類に見入る長尾政三さん=神戸市長田区大道通1(撮影・大山伸一郎)

 阪神・淡路大震災の被災者向け借り上げ復興住宅で契約期限が迫り、高齢者らの見守り活動の担い手が、退去を迫られる問題が起きている。震災で妻を亡くした後、孤独死を防ぐボランティアをしてきた神戸市長田区大道通1の長尾政三さん(69)は、食事会を開き、住民に得意の料理をふるまってきた。「家族やと思って接してきた。ほっとけんやろ」。部屋の明け渡しには応じないつもりだ。

 1995年1月17日、同市長田区の西市民病院5階が押しつぶされ、検査入院中の妻裕美子さん=当時(43)=を亡くした。同区の自宅アパートも全壊した。

 同年夏に入居した同区の西代仮設住宅では独居死や自殺が相次ぎ「家内の供養になるかな」と見守りを始めた。「長寿友の会」をつくり、高齢者の健康状態を日々確認した。各地の復興住宅なども巡り、身寄りのない人など270人以上の葬儀を営むなどした。

 99年から暮らす神戸市の借り上げ復興住宅「フレール長田」でも食事会を続け、ちらしずしや天ぷらなどに腕を振るう。「震災後に子ども3人を育てながら料理を覚えた。みんな独りで部屋にいたら考え込む。笑い合って話し合える時間がどれだけ大切か」

 同住宅の契約期限は2年後の2019年12月。神戸市は「85歳以上」などの継続入居要件を設けるが、長尾さんは該当しない。数年前から期限を告げる文書が届くが、返送している。「被災者は身内を亡くし、自宅を失って、歳をとった。新しいスタートを切れるわけない。安心して住めるようにするのが行政の責任」と憤る。

 神戸市から明け渡しの裁判を起こされることも覚悟している。「見守りのボランティアは自分が生きている証明。身体が続く限り、やりたいんや」と語る。

     ◇

 兵庫県は「80歳以上」などの要件を満たさなくても、判定委員会で家族や健康上の事情を考慮して継続入居の可否を判断。これまでに551世帯を認めた。高齢者の見守りなど地域活動をしている人も含まれる。

 県の借り上げ復興住宅「ルネシティ新在家南町」(同市灘区)で、住民交流活動に取り組む山村ちずえさん(83)は「判定委員会制度のおかげで、独居高齢者の見守りをしている75歳以下の住人の継続入居が認められ、コミュニティーが守られた。地域には若手が必要。神戸市は対応を見直すべきだ」と語る。(小林伸哉)

2018/1/16

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