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幼児体操教室「みんなげんきジム」代表を務める米田和正さん=西宮市神楽町
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幼児体操教室「みんなげんきジム」代表を務める米田和正さん=西宮市神楽町

 夙川にほど近い国道2号沿い。壁を切り裂く傷跡が目に飛び込む。「そのまま残してるんです。大自然の力、畏敬の念を忘れないように」。あの日から23年。ここだけは時が止まったようだ。

 大学時代からアルバイトで放送局に入り、24歳でNHKのオーディションに合格。幼児向け番組「おかあさんといっしょ」の野外遊びコーナー「てをつなごう」でお兄さん役を務め、全国を飛び回った。

 2年半が過ぎたころ、西宮で不動産業を営んでいた父をがんで亡くした。親戚の勧めもあり、地元に戻って跡を継いだ。しかし「親子が触れ合える場を作りたい」の思いが消えなかった。1979年、妻・美紀子さん(67)と婚姻届を出した日、会社を改装した幼児体操教室「みんなげんきジム」を立ち上げた。

 事業は順調。多くの教え子が巣立った。95年1月、阪神・淡路大震災が起きた。

 自宅では鉄製の本棚が倒れた。小学生だった長男の頭から30センチほどの場所だった。ジムに走った。建物は無事だったが、塀の壁に大きな亀裂が走っていた。避難所になり、約40人が身を寄せた。救助活動に奔走したが、亡くなって運ばれてくる人もいた。後日、教え子らの訃報も届いた。

 生と死は紙一重と痛感した。自分たちは未来に何を残すべきか。「答えはやはり人。子どもと、自分が住む地域のことを考えるのが一番大事と思った」

 町の自治会長を務め、バザーで資金を集め夙川沿いに鎮魂碑を建てた。東日本大震災後は子どもたち向けのコンサートを開くため、福島に足を運び続けている。

 子どもと携わって半世紀近く。ジムの横の壁を見るたび心に刻む。「子どもと遊び、一緒に自然に親しむ。そのために生かされている」。68歳。(記事・写真 岡西篤志)

 【メモ】地震被害を受けたネパールの子どもらの教育やコミュニティーづくりを支援する「NGOネパール虹の家」の活動にも携わる。みんなげんきジム(西宮市神楽町)TEL0798・26・0020

2018/1/21

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