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行政書士として働く傍ら、社会福祉士の資格取得を目指して勉強する勝部慶子さん=西宮市松生町7
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行政書士として働く傍ら、社会福祉士の資格取得を目指して勉強する勝部慶子さん=西宮市松生町7
峯松忠雄さん
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峯松忠雄さん

 阪神・淡路大震災で父の峯松忠雄さん=当時(64)=を亡くした勝部慶子さん(55)=兵庫県西宮市松生町7=が、知人やボランティアに支えられた経験から「人の役に立つ仕事で恩返しをしたい」との思いを原点に行政書士となり、障害者や高齢者の支援に携わっている。さらに、知的障害者の成年後見人になるなど活動の充実を図ろうと、社会福祉士の資格取得を目指して猛勉強に励む。(井沢泰斗)

 1989年に母の峯松菅子さん=当時(53)=を病で亡くし、神戸市東灘区の自宅で1人暮らしをしていた父忠雄さん。震災で家屋が隣家に押しつぶされ、命を落とした。目の前のマンションで暮らしていた勝部さんや夫、1歳の長男は無事だったが、父の死を「突然すぎて、受け止め切れなかった」という。

 その後も、忠雄さんが所有していたマンションの全壊を受け、入居者への説明や退去手続きに追われた。直後に次男が生まれ「忙しくて悲しむ余裕はなかった」と振り返る。

 転機は2010年。ようやく息子2人から手が離れ、大学職員として働いていた勝部さんに、ふと「これでええんかな」という思いが芽生えた。そっと見舞金を包んでくれた避難先のクリーニング店や、炊き出しで目にしたボランティアの姿が浮かんだ。「直接じゃなくても、人のために働くことが恩返しになる」

 心機一転、仕事を辞め、独学で行政書士の資格取得を目指した。たまたま受講した国民生活センターのセミナーで、障害者や高齢者が消費者詐欺に遭う現状を知ったのがきっかけだった。3度の受験失敗を経て、14年に念願の合格。毎日手を合わせる両親の仏壇に、やっと良い報告ができた。

 現在は行政書士として高齢者の成年後見人を引き受ける傍ら、NPO法人「成年後見こうべかぞくねっと・きずな」(神戸市北区)の事務局に勤める。親や頼れる親戚がいない知的障害者の法定後見人となり、財産管理や身上監護を担う団体。勝部さんは経理やホームページ管理を担当しながら、法律の専門家としてアドバイスも行う。

 次なる目標は行政書士の仕事として、知的障害者の後見人を引き受けること。福祉に関する知識不足を痛感し、社会福祉士の資格取得を目指す。約1年半、専門学校に通い、2月上旬に試験本番を迎える。

 父親と、穏やかな暮らしを奪った震災。ただ最近、こうも考える。「それまでは自分のことで精いっぱいやった。人を思いやる心を気付かせてくれたのも震災なんです」

2018/1/16

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