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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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関西学院大経済学部教授(公共経済学)上村敏之氏
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関西学院大経済学部教授(公共経済学)上村敏之氏

 神戸空港に27日から、新たな航空会社が乗り入れます。新興航空会社のフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)が神戸-松本線と神戸-出雲線を運航。神戸空港に新たな航空会社が乗り入れるのは2013年6月以来、6年4カ月ぶりです。さらに同社は12月、神戸-高知線も就航。神戸の空の玄関口は広がっていくのでしょうか。(長尾亮太)

■そもそも新たな乗り入れの背景は

 関西、大阪(伊丹)、神戸空港のあり方を官民で話し合う「関西3空港懇談会(3空港懇)」が今年5月、1日60便に限っていた神戸空港の発着枠を80便まで増やすと決め、発着枠に空きが生まれたからです。

 神戸空港に規制が課された歴史をひもとくと、騒音問題を抱える大阪空港に代わる新国際空港の立地選びが進められた1960年代までさかのぼります。国は神戸沖にしようとしていたが、反対していた故宮崎辰雄市長が再選され、泉州沖になりました。

 しかし、人や貨物の輸送手段が船から飛行機へ移る流れの中、06年に神戸空港が開港。ただ当時、利用低迷にあえいだ関西空港と競合しないよう、神戸空港は国内線のみ。発着枠と運用時間が制限されました。

 こうした規制があるため、神戸空港は便利さが犠牲となってきました。その半面、FDAのような後発の航空会社にとってみれば他社が開拓してこなかった「手つかずの市場」が残されており、数年前から乗り入れの機会をうかがってきたのです。

■なぜ今、規制緩和が進んだのか

 18年4月に関西、大阪、神戸空港の「一体運営」が実現したことが、長年の膠着(こうちゃく)状態を動かしました。3空港の関係が「競合」から「協力」へシフトしたことで、その年の暮れに8年ぶりとなる3空港懇が開かれたのです。

 しかも3空港の運営を委ねた相手は、オリックスなどでつくる民間企業です。もうけを増やすために「資産」をフル活用しようとし、神戸空港の規制緩和にも積極的になったわけです。

 さらに後押しになったのが、外国人観光客の急増です。関空の旅客数は、神戸空港の開港当時と比べて1.8倍。パイが大きくなり、地域間の利害対立を和らげました。訪日客をもっと取り込んで関西全体の発展につなげよう-。ようやく方向性が一致し、25年大阪・関西万博までに神戸空港の国際線就航を検討することになりました。

■これからのポイントは

 「夜10時まで」だった運用時間を、「夜11時まで」1時間延長することも3空港懇で決まっており、来春にも延長された時間帯に航空機が飛ぶ見通しです。羽田空港を夜9時台にたつ便が登場すれば、東京出張で夜の会合に出席してから神戸に戻りやすくなるでしょう。

 国際定期便の実現のためにはターミナルビルの拡張も必要です。どんな構造にして誰が費用を出すのか-などについて今後、関西エアポートや神戸市が話し合います。都心・三宮と空港を結ぶポートライナーは朝の混雑が激しいほか、大動脈である新幹線の新神戸駅との接続が悪いため、アクセスの改善が課題です。

 また、発着便ともに明石海峡の上空を通らなければならない現在の飛行経路では、1日100便ほどが上限とされています。神戸空港のさらなる活用を実現する上で、経路見直しは欠かせません。もちろん最優先すべきは安全なので、空港の機能強化と両立させる知恵が問われます。

【教えて!先生】

■上村敏之・関西学院大経済学部教授(公共経済学)

 5月の関西3空港懇談会以降、神戸空港の新規就航が次々決まり、さっそく成果が出ている。関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港内でバランスを取らざるを得なかった時代がようやく終わり、「一体運用」のスタート地点に立てたと言える。

 発着枠が広がっていけば、課題になるのが、その枠がきちんと埋まるかどうかということ。新たな需要が生まれれば、さらなる規制緩和にも弾みが付くだろう。

 次の目標は国際化だ。神戸空港は2025年大阪・関西万博の会場となる大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)と、船で20分ほど。万博を成功させる上で神戸の国際化は欠かせないとの認識を、関西全体で共有したい。

 ただ、国際線を飛ばすだけで神戸の街が生まれ変わる、との考えは安易だ。外国人の目線に立って観光力を磨くとともに、海外企業が拠点を置きたくなるようなビジネス機会を創り出す努力が問われる。結局、「神戸・関西」が魅力あるエリアかどうかがすべての鍵を握る。

2019/10/20

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