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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 近畿6府県と岐阜県にまたがる33寺院「西国(さいこく)三十三所」は1300年の歴史を誇り、各寺院を結ぶ千キロ超のルートは日本最古の巡礼道とされます。「西国三十三所観音巡礼(西国巡礼)」は昨年、文化庁から日本遺産に選ばれました。各寺院は、ご朱印を求める人々でにぎわい、23日からは特別展「聖地をたずねて」が京都で開かれます。西国巡礼は、なぜ時を超えて人気を集めているのでしょうか。(井原尚基)

■兵庫県内4カ所 有名寺院が名を連ね

 西国巡礼は718(養老2)年、兵庫県揖保郡出身とされる徳道上人が夢で閻魔(えんま)大王に出会い、33の宝印を授かったことに端を発するとされます。上人は33の霊場を設けましたが、人々の信用を得られず、宝印を中山寺(宝塚市)に埋めました。270年後、花山法皇(968~1008年)が復興させたと伝わっています。

 33寺院は「札所」と呼ばれ、三井(みい)寺(大津市)、清水寺(京都市)などの有名寺院が名を連ねています。兵庫県内では、中山寺▽播州清水寺(加東市)▽一乗寺(加西市)▽円教寺(姫路市)-の4カ所があり、花山法皇ゆかりの花山院菩提寺(三田市)が番外札所と位置づけられています。各札所には「ご詠歌」と呼ばれる和歌があります。

 各寺院が札所と呼ばれるのは、巡礼する人が、住所や名前を記した「納め札」を奉納する風習に由来します。古い巡礼札の多くは失われましたが、一乗寺には2万枚を超える木や紙の札が残され、江戸期以降の巡礼者の出身地調査が行われました。ちなみに、33という数字は観世音(かんぜおん)菩薩が人々を救うために33の姿に変化(へんげ)するという思想に基づくとされます。

■ベースは観音信仰 地域の食も楽しみに

 現代ではほとんどの人がマイカーやバス、鉄道などで巡礼していますが、江戸時代には徒歩で年間約2万人が巡礼し、宿場間の距離などが記されたガイドブックも多数出版されました。かつての巡礼道を歩くと、今でも石でできた道しるべや、巡礼中に命を落とした人の墓が見つかります。

 多くの時間を要する西国巡礼ができなかった人のため、県内を含む全国各地に「写し霊場」と呼ばれる「三十三カ所観音霊場」があります。西国三十三所の本尊を模した33体の観音像を安置している寺も姫路市などに見られます。

 西国三十三所全てに参拝した人は「先達(せんだつ)」と呼ばれる案内人になることができ、西国三十三所先達委員会によると、申請者は近年増加傾向にあるそうです。では、西国巡礼が長い間、人々に親しまれてきたのはなぜでしょうか。

 江戸期のガイドブックを多数所蔵する前姫路市立琴丘高校長の宇那木隆司さん(61)によると、西国巡礼の中心にあるのは、昔も今も、あらゆる人が救われるという観音信仰です。その上で、自然の中で癒やされる、おいしいものを食べるといった楽しみ方が加わってきたことが人気の背景にあるとみています。

 現代でも「西国三十三所札所会」が、草創1300年記念の限定ご朱印を用意したり、札所周辺で和洋菓子を楽しむ「スイーツ巡礼」を提案したりするなど、ファンの獲得に力を注いでいます。今年4月には、播州清水寺の登山道がスポーツタイプの自転車で走行できるようにもなりました。

 時代を超えて受け継がれてきた西国巡礼。熱中症に気を付けながら参拝や散策を楽しんでみてはいかがでしょう。

2020/7/12

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