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兵庫県立大学人工知能研究教育センター研究部長 松井伸之名誉教授
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兵庫県立大学人工知能研究教育センター研究部長 松井伸之名誉教授

 人間の代わりにコンピューターが車を運転する。ひと昔前のSFドラマのような技術が、人工知能(AI)の発達で現実になろうとしています。全国各地でバスなどの自動運転実験や実用化が進むほか、3月には、ホンダが一定の条件下なら前方を見る必要がない「レベル3」の市販車を世界で初めて投入しました。兵庫県内でも実験が始まっている自動運転の現状を取材しました。(古根川淳也)

■AI活用で研究加速 政府も導入後押し

 自動運転の研究は1950年代に米国で始まりました。当初は路上の誘導ケーブルに沿って走行しましたが、コストなどの理由で下火に。70年代からは車載カメラでガードレールなどを検知し、ハンドルやブレーキ操作に反映する「自律型」が主流になりました。

 近年は経路や障害物の判断にAIを活用する研究が盛んで、米グーグルなどIT企業の参入が進んでいます。

 日本政府も自動運転の導入を後押し。人口減が進む地方ではバス運転手の確保や高齢者の移動手段が大きな課題となっているからです。

 法律面でも人の運転を前提にした規定を見直しました。2019年の道路交通法の改正で、自動運転「レベル3」の規定を新設。国の条件を満たす車両に限り、スムーズに人が運転を代われる状態なら走行中の携帯電話使用、テレビ視聴を認めました。

 民間事業者が道路に電磁誘導線などを敷設することも可能に。車両のセンサーで位置を特定でき、衛星利用測位システム(GPS)の精度が低下するトンネルや山間部を補完します。

■全国で実証実験 県内はニュータウンで

 実証実験も全国で展開中です。播磨科学公園都市(たつの市など)で18年5月、兵庫県や神姫バスなどが15人乗りの自動運転バスを走らせる実験を実施。車内の様子などは約15キロ離れた相生市内から遠隔監視しました。神姫バスは19年12月にも県などと合同で、同都市の公道でマイクロバスの自動運転実験を実施しています。

 さらに神姫バスは20年7~8月、経済産業省の事業に応募し、三田市のウッディタウン地区で定員56人の自動運転バスを約1カ月間運行しました。

 同社次世代モビリティ推進室の須和憲和部長は「人口減や高齢化により、小型バスで自宅と目的地を結ぶ需要が増える。自動運転ならきめ細かなニーズに対応できる」と強調します。

■運転手不要のレベル「4」「5」開発競争の主戦場に

 ドライバーがハンドルから手を離すことができる「レベル2」クラスでは一部実用化も。秋田県上小阿仁(かみこあに)村では19年12月、ゴルフ用電動カートを改造した車両で1回200円の有料運行がスタート。一般車が通らない区間では運転手が助手席に移り、自動運転にゆだねます。

 福井県永平寺町でも20年12月から1回100円で電動カート8台を使った運行を開始。遠隔操作で発車ボタンを押す以外、自転車・歩行者専用道を自動運転で走ります。今月25日には「レベル3」運行の出発式を行いました。

 市販車でも自動運転の導入が進みました。ホンダは今年3月、自動運転レベル3の「レジェンド」を発売。ドライバーは渋滞時の高速道路ではシステムに運転を任せ、前方を注視する必要がなくなりました。

 ただ、現時点ではドライバーが常に運転できる状態を保つなど制約も多く、今後は一定の条件下で運転手が不要となる「レベル4」や、完全な自動運転である「レベル5」が開発競争の主戦場となりそうです。

   ◇   ◇

【教えて!先生】兵庫県立大学人工知能研究教育センター研究部長 松井伸之名誉教授

■事故時の説明責任も研究

 人工知能(AI)の研究は1950年代に始まり、2016年に囲碁のトップ棋士を破って一躍注目されました。画像や音声を認識する技術も飛躍的に向上し、自動運転は「目」と「耳」を獲得したと言えます。

 人間の脳は「集中」することで目の前の光景の中から注意すべき領域を選び出し、情報を効率よく処理します。AIにもこの原理が導入され、画像認識が向上しました。今や、画像認識でミスを犯す確率は人間以下になっています。

 ただし、道徳や倫理的な問題があります。例えばの想定ですが、車のブレーキが壊れ、直進すれば大人5人をはね、ハンドルを切れば子ども1人をはねる状況になったとする。どちらを選ぶべきか。誰も答えは出せません。

 AIの判断過程はブラックボックスな面があります。事故の説明責任のため、判断理由を明示できるAIも研究されています。

2021/3/28
 

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