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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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同志社大法学部元教授 川本哲郎さん
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同志社大法学部元教授 川本哲郎さん

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相は兵庫、大阪、東京など7都府県に、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言を発令しました。不要不急の外出自粛要請に加えて、民間施設への休業要請が可能になり、各自治体の知事らは休業した事業者への補償を政府に求めています。そんな中で、要請に従わなければ罰則は? 都市封鎖(ロックダウン)はできないの? さまざまな疑問について、同志社大法学部元教授で感染症と人権の問題に詳しい川本哲郎さん(70)に聞きました。(今福寛子)

■知事が自粛要請、指示

 -首相が国民に直接指示するのではなく、都道府県知事が要請や指示を行うのはなぜですか?

 地域の実情に合わせて実施する必要があるからです。例えば兵庫では感染者の多い阪神間と、患者が確認されていない但馬地域で対応を変えることができます。国と知事の二重のチェックが働くことがメリットです。

 一方、デメリットは知事の考え方次第で地域差が出ることです。首都圏や京阪神は人口が多く、往来も盛ん。京都は対象から外れましたが、通勤や通学で京都から神戸に通う人もいます。自治体同士がうまく連携しなければ、効果は出ません。

 これまでの外出自粛要請との違いは、法律に基づく措置のため重大性がより高まることです。国民の危機感も増したのではないでしょうか。

■補償に政治判断必要

 -要請は罰則や補償を伴うのでしょうか?

 基本的に罰則はありません。ただ、臨時の医療施設を設けるための土地使用や、医薬品など必要な物資の売り渡しを求める措置は強制力があり、罰則を伴います。損失は補償されます。

 また、映画館や劇場、スポーツ施設など大勢の人が集まる場所の使用制限や、大規模なイベントの中止を要請した場合は、対象となる施設名を公表することになっています。

 これは本来、罰則を科すのが狙いではなく、施設が閉鎖していることを知らせて混乱を防ぐことが目的です。しかし従わない施設はすぐに分かるので社会的なプレッシャーがかかることになります。

 飲食店やイベント主催者からは休業に対する補償を求める声が上がっていますが、法律に補償は定められていません。一時的で強制ではないなどが理由ですが、だからといって補償しなくていいということにはなりません。政治判断が必要です。

 -外出制限や交通の遮断などの実施に強制力は必要ないのですか?

 日本ではまだ反発が大きいでしょう。刑罰は最後の手段。インドやフィリピンなど取り締まりが行き過ぎている国もあり、世界の流れに乗っていくことは危険な面もあります。

 とはいえ、感染が爆発的に拡大すれば、状況次第で法改正して厳しく取り締まるという声が高まる可能性もあります。自分は大丈夫だと思っている人たちに緊急事態宣言の趣旨を理解してもらえるよう広報、教育していくことが大事です。

■都市封鎖、法的根拠なく

 -日本の法律では海外のような都市封鎖はできないのですか?

 新型コロナ特措法を含めて都市を封鎖する法律はありません。今回の緊急事態宣言のベースになった新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立した2012年当時はまだ、都市封鎖は世界的にも想定されていませんでした。

 感染症法第33条には交通の制限、遮断について規定されていますが、72時間以内の限定なので都市封鎖に使うのは難しいと思います。例えばノミが媒介するペストなどが流行した場合に、徹底的に消毒するための規定です。

 イタリアやスペインなどは中国・武漢に倣って強制的に外出制限をしましたが、そういった欧米各国は近年テロの脅威にさらされていることから、期間限定で緊急に法整備する背景があったのでしょう。

【かわもと・てつろう】1950年京都市生まれ。中央大法学部卒業後、同志社大大学院法学研究科修了。京都学園大、京都産業大を経て2012年同志社大法学部教授。今年3月に定年退職。専門は刑事法。

【記事特集リンク】新型コロナウイルス

2020/4/12

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