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兵庫教育大大学院教授・井澤信三氏
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 障害者の法定雇用率が3月1日から、約3年ぶりに引き上げられます。民間企業は0・1ポイント上がり、全従業員のうち2・3%を障害者とすることが義務づけられます。障害者雇用促進法により、法定雇用率以上の割合で雇うことが求められますが、兵庫県内で基準を超えて雇用する企業は全国平均を上回るものの、5割にとどまります。障害者雇用の現状や課題を調べてみました。(上杉順子)

■76年に義務化 知的、精神にも拡大

 障害者雇用の義務化は1960年、傷痍(しょうい)軍人対策として「身体障害者雇用促進法」が制定されたことに始まります。当初、民間企業の雇用は努力目標でしたが、76年の法改正で雇用率1・5%の法的義務が課されました。

 その後、身体障害者にとどまらず、全ての障害者の雇用を促す機運が高まり、87年、同法は「障害者雇用促進法」に改正。実際には法的に義務化される前から「みなし」で雇用率に組み込まれていましたが、98年に知的障害者、2018年に精神障害者もカウントされるようになりました。

 対象となる障害者の拡大に伴って、民間企業の法定雇用率も18年、それまでの2・0%から2・2%に引き上げられました。今年3月からは2・3%と、さらに高くなります。

■中央省庁で「水増し」監督機能を強化

 障害者の法定雇用率が上がるとともに、適用される企業数も増加。2・0%の時代には、適用対象は従業員50人以上の企業でしたが、2・2%になってからは同45・5人以上、さらに2・3%では同43・5人以上の企業が対象となります。

 一方、障害者の中で雇用率の算定対象となるのは、障害を認定する手帳の所持者です。短時間労働者は0・5人、重度の身体または知的障害者は2人として数えられます。

 障害者雇用を促す施策の一つが、障害者雇用納付金制度です。常時100人超を雇う事業主は、法定雇用率を下回ると国に納付金を納め、逆に上回ると、雇用調整金(100人以下は報奨金)が支払われます。

 国や自治体にも法定雇用率2・5%が課せられていますが、18年夏、中央省庁で対象外の人を多数計上する「水増し」が発覚しました。再発防止のため、障害者雇用促進法を改正し、厚生労働省の行政機関への監督機能を強化しました。

■兵庫の未達企業5割さらに周知必要

 兵庫県内の対象企業の雇用率は20年6月1日現在で2・21%。前年から微増、全国平均(2・11%)も上回り、法定の2・2%に届きました。しかし、達成した企業の割合は前年比0・1ポイント減の50・9%(全国48・6%)で半数ほどです。

 近年の特徴は、発達障害を含む「精神障害者」の急増です。ハローワークを介した県内の就職状況をみると、09年度は身体障害者が半数強で、精神障害者は約2割でしたが、19年度は精神障害者が4倍以上に増えて全体の4割以上。身体障害者はほぼ横ばいで割合も3割弱に下がりました。

 兵庫労働局職業対策課の廣田宗久課長補佐は「18年の雇用義務化に加え、医療の発達で精神障害、発達障害と診断される人が増えたことが大きい」と説明。身体障害などと比べ特性に個人差があるため、厚労省は相互理解促進を目指し、職場内の支援者を養成する「精神・発達障害者しごとサポーター制度」を17年から導入しています。

 法定雇用率を引き上げた直後は雇用率が下がる傾向にありますが、廣田課長補佐は「さらに周知を図り、ハローワークを中心に関係機関と連携し、達成に尽力したい」と話しています。

    ◇    ◇

【教えて!先生】発達障害、特性に理解を 兵庫教育大大学院教授・井澤信三氏

 発達障害者の雇用が増えたのは、障害者雇用促進法の改正に加え、社会の認知が進んで、各企業が実績を積み重ねてきたことが大きい。最初は一般採用で働いたが仕事になじめず、理解のある職場を求めて障害者雇用を選ぶ人も目立つ。

 今後の課題は職場への定着。発達障害は個人差が大きく、企業側と互いに特性を理解することが重要だ。

 状況を読むのが苦手な人が多く、取り込み中に話し掛けられたときに「後にして」とだけ答えても意図は伝わりにくい。その場に立ち尽くしたり、わずか1分後にまた来たりする。たびたび注意されて「分かってくれない」という不満が積もり、離職につながることも。「会議が終わってから」や「〇分後に来て」など、具体的に話せばいい。

 当事者も「では、いつ来ればいいですか」と聞けばいい。「業務に過剰に没頭することがある」など自己の特性を理解し、対処法を同僚に説明しておけば働きやすくなる。

 仕事が合えば高いパフォーマンスを発揮する人もいる。労使双方が理解を深め、行政や就労移行支援事業所が実践的な職業訓練などを充実させることが、今後はより求められるだろう。

2021/2/7
 

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