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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 二酸化炭素(CO2)を多く排出する非効率な石炭火力発電所について、政府が7月、2030年度までに段階的に休廃止する方針を示しました。100基程度が対象になる見込みです。国際的には欧州を中心に石炭火力は全廃の流れが強まっています。日本でもこれを機に「脱炭素」が進むのでしょうか。(森 信弘、大島光貴)

■国内発電量の3割

 石炭火力は、石炭を燃やした熱を利用して蒸気タービンを回し、発電します。ほかの燃料に比べて安価で、オーストラリアなど政情が安定した国から輸入できるため、国内の発電量の約3割を占めています。国内の石炭火力発電所は20年6月末時点で150基あり、非効率な設備は120基に上るとされています。

 政府は、旧式の「亜臨界圧」や「超臨界圧」を非効率型、新式の「超々臨界圧」「石炭ガス化複合発電」などを高効率型としています。「超臨界圧」であっても高効率の設備もあるといいます。いずれにしても液化天然ガス(LNG)火力などに比べ、多くのCO2を排出しています。

 休廃止に向けた議論は、既に有識者の会合で始まりました。非効率な石炭火力に対する新たな規制や、早期退出への誘導策などを検討します。政府は年内にも結論を出す考えです。

■「脱炭素」欧州中心に拡大

 政府が休廃止の方針を打ち出した背景には、国際社会に脱炭素の取り組みをアピールする狙いがあります。地球温暖化対策の国際的なルール「パリ協定」に基づき、温室効果ガスの排出源である石炭火力を廃止する動きが欧州を中心に広がっています。

 地球温暖化は干ばつや洪水を引き起こすとして国際社会の危機感は強く、石炭火力利用を続ける日本には、批判が高まっています。19年の国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の際には、世界を危険にさらす国として環境団体から「化石賞」に選ばれました。

 世界では石炭火力事業から投融資を引き上げる動きが加速していて、日本でもメガバンクが新規計画に資金提供しないなどの動きがあります。

■再生エネ事業者を優遇 原発の扱いも焦点

 石炭火力を大幅に減らすには、代わりの電源が必要になります。風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電の拡大が期待されています。政府は、再生エネ事業者の送電線利用を優遇することなどを検討します。

 原子力発電所の扱いも焦点です。18年度の国内発電量に占める原発比率は6.2%ですが、政府はエネルギー基本計画で30年度に20~22%へと引き上げる目標を立てています。CO2を出さないものの、11年の東京電力福島第1原発事故を経て国民の抵抗感は増しています。

 こうした状況を踏まえ、今回の方針では、石炭火力のうち高効率の設備は維持し、新規建設も認めます。兵庫県内では、神戸製鋼所子会社・コベルコパワー神戸第二(神戸市灘区)が、新たに高効率の2基を建設中です。

 一方、環境団体は石炭火力の全廃を求める姿勢を崩していません。想定される100基程度の削減をしても、新たな建設が規制されなければ日本の石炭火力全体の設備能力は約2割減にとどまり、不十分な削減に終わると指摘しています。脱炭素を加速させたい環境省と産業界に配慮する経済産業省のせめぎ合いもある中、実効性がある施策を打ち出せるかが問われています。

2020/8/2

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