連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

【特集】ニュース解く説く TOKTOK

  • 印刷
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
流通経済大学流通情報学部准教授(物流)の宮武宏輔氏
拡大
流通経済大学流通情報学部准教授(物流)の宮武宏輔氏

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で、料理や通販で買った商品の宅配が脚光を集めました。緊急事態宣言が解除された今も、街中で料理を運ぶ配達員や宅配車をよく目にします。関連サービス業界は需要増に沸き、飲食店などの支援に乗り出す自治体も出ています。「ウィズコロナ(コロナとの共存)」が叫ばれる中、宅配サービスは定着するのでしょうか。(横田良平)

■3月以降、需要急増

 飲食の宅配は外資系のウーバーイーツと、国内勢の出前館(大阪市)が大手です。どちらも利用者がスマートフォンのアプリなどから注文すると、配達員が飲食店で料理を受け取り、自転車やバイクで自宅やオフィスに届けます。外出自粛で飲食店は客が激減し、利用者も店の味を自宅で楽しみたい、と需要が増えました。

 ウーバーイーツによると、飲食の加盟店は昨年9月の約1万4千店から今年3月に約2万店、5月末には約2万5千店まで増えました。出前館でも注文数は今年1月に前年同月比で7%増え、4月には50%増になりました。

 需要増を受け、神戸市は両社と提携し、加盟店が負担するサービス利用料の一部助成などを始めました。飲食店支援と同時に、自宅にこもる市民の家事負担軽減にもつなげる狙いです。神戸市内のウーバー加盟店は、支援前の560店から千店以上に増加。同社がサービスを展開していない兵庫県伊丹市では、市などが独自に宅配事業を始めました。

 外出自粛による「巣ごもり消費」で、食材や日用品の宅配も活況です。コープこうべ(神戸市東灘区)の個人宅配事業は、4月の新規申込件数が前年同月の2倍に。出荷作業などが繁忙で、現在は新規申込者のサービス開始時期を2カ月程度遅らせるほどです。同事業の売上高も4、5月は前年比20%以上の伸びといいます。

 ネット通販の広がりもあり、宅配便も増えました。ヤマト運輸の4月の宅配便取扱数は前年同月比13.2%増。特に郵便受けに投函(とうかん)でき、再配達不要な小口貨物が50%近く増えました。「個人宛ての書籍などが増えた」(ヤマトホールディングス広報)といいます。

■配達員不足解消が鍵

 宅配需要の高まりで見えてきたのが、人手の問題です。ウーバーの展開エリアは年々拡大していますが、6月現在で全国17都府県にとどまります。神戸市内でも、配達員確保の面から西区などはサービスの対象外です。より定着するには、サービスの拡大が鍵となります。

 宅配便でも、近年はドライバー不足が指摘されてきました。ヤマト運輸はコロナ禍で減少した法人向け配送の人員を個人向けに充てたり、委託を増やしたりして対応しました。ただ、配送ドライバーは労働力人口の減少もあって2028年度には28万人が不足するとの試算もあり、抜本的な対策が急がれます。

 感染防止の観点から、宅配大手は対面で荷物の受け渡しをしない「置き配」も導入。しかし東京では、玄関先に置かれた宅配用の荷物を盗んだとして、窃盗容疑で男が逮捕される事案もありました。

■ドローン配送試行も

 緊急事態宣言が全面解除され、外出しての飲食や買い物客が戻ると予測される中、宅配需要は続くのでしょうか。

 出前を始めた神戸市内の男性飲食店主(38)は「最初は注文が来たが、全体としてはそんなに増えていない。とても来店客の減少を賄えるほどでは…」と言います。一方で「来店客がどれだけ戻るかも分からない。利益は少ないが、宅配は続けた方がプラス」と話します。出前館の広報は「コロナを機に、出前サービスがより認知された。中長期的には生活に欠かせないインフラサービスにしていきたい」といいます。

 国は9月まで、タクシーなどによる飲食の配送を全国一律で認めており、恒久化も検討するとしています。日本郵便はドローン(小型無人機)を使った配送を試行。自動運転技術を使い、宅配網の構築を模索する動きもあります。少子高齢化や地方の買い物難民の課題もある中、こういった特例制度の恒久化や新しい技術の成熟が、宅配の定着を後押しするのか注目されます。

     ◇     ◇

【教えて!先生】宅配もワークシェアを/流通経済大学流通情報学部准教授(物流)・宮武宏輔氏

 新型コロナウイルスの感染拡大で、消費者物流では人手確保の問題がより強まった。再配達の労力を削減するためにも宅配ロッカーの活用が必要。新サービスなので利用者が慣れれば広がるだろう。

 宅配便はネット通販の拡大でインフラといわれるようになった。少子高齢化の加速で、ネット通販に親しんだ世代が、引き続き食品の宅配サービスを使うようになれば生活インフラになる。そうすれば企業の市場価値も上がる。

 限られた人的資源を生かすために、過疎地では宅配を共同で担う「共配」、ワークシェアが広まれば良い。タクシーの荷物配送も、さらに規制緩和が進めば宅配サービスが広がる。ドローン活用はその次の段階で、離島や中山間地でも期待が掛かる。

【記事特集リンク】新型コロナウイルス

2020/6/7

天気(8月7日)

  • 33℃
  • 27℃
  • 20%

  • 34℃
  • 26℃
  • 40%

  • 35℃
  • 27℃
  • 10%

  • 36℃
  • 26℃
  • 20%

お知らせ