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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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産業カウンセラー三木啓子さん
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産業カウンセラー三木啓子さん

 女性活躍・ハラスメント規制法(通称パワハラ防止法)が今月施行され、大企業にパワーハラスメントの防止対策が義務付けられました。厚生労働省は何がパワハラに当たるのかを具体的に示した指針を初めて作成し、定義も整理されました。労働者として、事業主として、私たちは今後、職場でのハラスメントにどう対応すればよいのでしょうか。(上杉順子)

■職場で3割以上が経験

 同法は、職場のパワハラをなくすため、事業主に10項目の対策を義務付けました。具体的には、会社の方針等の策定・周知▽加害者への厳正な対処▽被害者のケア▽相談窓口の設置-などを求めています。罰則を伴う禁止規定はありませんが、違反した企業には労働局長が勧告し、従わない場合は企業名を公表します。現時点で中小企業は努力義務ですが、2022年4月からは大企業と同じく義務化されます。

 職場のパワハラ行為は根深く、15年末には、広告大手電通で、上司の暴言などのパワハラや長時間労働で苦しんだ新入社員が過労自殺しました。最近でも、三菱電機の新入社員やヤマハの男性社員など、パワハラを苦にしたとみられる自殺は後を絶ちません。

 厚労省が16年に行った実態調査では、「従業員から相談の多いテーマ」として、パワハラが最多の32.4%(複数回答可)を占めました。「過去3年間にパワハラを受けたことがある」とした従業員は32.5%に上っています。

■加害者、上司に限らず

 同法施行に伴い、厚労省はパワハラの定義を示しました。(1)優越的な関係を背景とした言動(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動(3)労働者の就業環境が害される、以上3点の全てを満たすものとしています。

 「優越的な関係」には、職務上の地位が上にある人だけでなく、その人の協力がないと円滑に業務を遂行するのが難しいケース、同僚や部下が集団的な行動をして抵抗が困難な場合なども含まれます。

 上司でなくても、被害者よりベテランだったり業務成績が良かったりする人からの行為はパワハラとみなされる可能性があります。

 また、具体的なパワハラ行為として、六つの類型が示されました。殴る、蹴るなど「身体的な攻撃」や、人格否定、暴言などの「精神的な攻撃」に加え、集団での無視など「人間関係からの切り離し」、わざと仕事を与えない「過小な要求」も該当することを明確にしました。

 ただ、類型では「該当しないと考えられる例」も併せて例示。身体的な攻撃について「誤ってぶつかる」などは該当しないとしており、企業側に「パワハラではなく業務指導だ」として反論を許す余地を残した-との指摘もあります。

■外部にも相談を

 パワハラに遭っても会社に相談窓口がなかったり、適切に対応してくれなかったりすると、法律違反になります。パワハラの相談者に対し、企業が解雇などの不利益な取り扱いをすることも禁止されました。

 それでも、相談の担当者とパワハラの加害者が同一人物であるなど、相談体制が機能しないケースは想定されます。そんな場合には、労働局や労働組合、弁護士、産業カウンセラーなど、外部への相談も検討すべきでしょう。

【教えて!先生】

ハラスメント問題に詳しい産業カウンセラー・三木啓子さん

 どこからがパワハラか、線引きは難しい。相談者がパワハラと感じるのなら「なぜそう思うのか」を突き詰めて調査することが大切。その裏には職場のコミュニケーション不足や業務量の偏りなど、何か原因が隠れている。経営者や管理職は見過ごさず、職場環境を整えなければいけない。

 「よし、パワハラをしてやろう」という人はほとんどいない。たいていは指導だと思っている。指導とパワハラの違いを理解し、部下の能力を引き出せる指導者の育成が求められる。

 パワハラは職場の誰もが当事者。傍観者になってはいけない。少しずつでも声を上げてほしい。「ちょっとおかしいよ」など、ソフトな言い方でいい。指摘された方も自省する。できる範囲で動こう。

 法律ができたことは一定評価できるが、これでパワハラがなくなるとも思えない。大企業の多くは以前から対策をしているが、本当に相談できる体制か、見直しが必要だ。労働局にも実効的な働きを望む。

2020/6/14

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