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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 大雨など災害時に自治体が発令する「避難勧告」が5月に廃止され、「避難指示」に一本化されました。二つの違いを理解している人がアンケートでは2割にも満たず、「どのタイミングで避難を始めていいのか分からない」という意見が根強かった表現を解消し、住民の逃げ遅れを減らすことが狙いです。一本化されたことで何が変わったのか、また、実際にどのように初運用されたのかをお伝えします。(堀内達成)

■分かりにくさ解消 逃げ遅れを防ぐ

 今回の一本化以前、避難勧告は安全な場所への移動に必要な時間を考慮して前もって発令され、住民はすぐに避難を始める必要がありました。一方の避難指示は災害発生が切迫している場合に重ねて避難を促すことが目的で、発令されない場合もありました。

 ところが二つの違いは正しく住民に理解されておらず、指示が出るまで動かず、逃げ遅れてしまう事例が後を絶たなかったのです。

 内閣府が、2019年10月の台風19号被災地を対象に実施したアンケートでは、回答した約3千人のうち、両方の意味を正しく理解していたのは17.7%。また「避難指示が出た段階で逃げる」と回答したのが最多の40.0%で、本来の趣旨通り「勧告段階で逃げる」とした人は26.4%にとどまりました。

 また、内閣府の作業部会では、水害に遭った豊岡市の中貝宗治前市長が、勧告から指示に切り替わったことで「事態が和らいだ印象を受けた」という住民の声を紹介。言葉による情報伝達の難しさが、あらためて浮き彫りになりました。

 さらに勧告と指示の違いを分かりにくくした要因が、5段階で示される「大雨・洪水警戒レベル」です。18年の西日本豪雨を教訓に、避難のタイミングを数字で直感的に認識できるように導入されました。しかし危険度が上から2番目で、全員の避難を呼び掛けるレベル4に、勧告も指示も位置付けられたため、住民をさらに混乱させ、自治体などから改善を求める声が上がったのです。

■5月の大雨で初運用 住民の反応は鈍く

 こうした現実を踏まえ、4月に災害対策基本法が改正され、勧告と指示が一本化されました。運用が始まった5月20日以降、市区町村長はこれまで避難勧告を発令していたタイミングで避難指示を出しています。同21日、梅雨前線の影響で大雨が降り、大阪府や京都府などで早速、避難指示が出されました。

 しかし、住民の反応は鈍く、大阪府四條畷市は826世帯2098人に発令したものの、実際に避難したのは5人。同府枚方市は1216世帯2650人のうち33人でした。

 兵庫県内では神戸市も崖崩れが起こったため、垂水区の1世帯4人に発令。避難所は開設しませんでしたが、対象世帯は一時、知人宅に避難したそうです。引き続き崩れる危険性があり、解除されていません(6月17日現在)。市の担当者は「避難指示が出続けていると、新たな大雨の時などに、ほかの住民を混乱させてしまうデメリットがある。日々悩みながら運用している」と話していました。

■ほかの避難情報も変更 名称を簡略化

 避難勧告と指示の一本化に伴い、ほかの避難情報も変更になりました。大雨・洪水警戒レベルのレベル3は「避難準備・高齢者等避難開始」から「高齢者等避難」に簡略化されました。レベル3は災害発生の恐れがある状況で、移動に時間がかかる高齢者や障害者らは安全な場所に移動を始める必要があります。

 また最高の危険度であるレベル5は「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変わりました。災害がすでに発生しているか、切迫している状況で、すぐに身の安全を確保しなければなりません。従来の災害発生情報という名称では、住民が何をすれば良いのか分かりにくいという指摘がありました。

 一連の見直しについて、神戸大都市安全研究センターの大石哲教授は「分かりやすくなった」と評価します。ただし、市区町村がすべての災害発生を早急に覚知できるとは限らないため、緊急安全確保については発令されない場合があることには留意が必要です。

 大石教授は「避難情報に注目するだけでなく、ハザードマップもあらかじめ調べ、自分の暮らすエリアは何が危険なのかを調べておいて」とします。また「今後は個人のスマートフォンで位置を調べ、そのスマホに直接『その場所は危険だから逃げなさい』という指示が来る時代になるかもしれない」と予測していました。

2021/6/20
 

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