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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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前回の衆院選で、街頭演説に耳を傾ける人たち=2017年10月、神戸市内
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前回の衆院選で、街頭演説に耳を傾ける人たち=2017年10月、神戸市内
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各都道府県の人口を「X」で割り、商の小数点以下を切り上げて定数を出す。その合計が総定数の289になるようにXを調整する。2020年国勢調査速報値では「X=466・000」になる。
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各都道府県の人口を「X」で割り、商の小数点以下を切り上げて定数を出す。その合計が総定数の289になるようにXを調整する。2020年国勢調査速報値では「X=466・000」になる。

 秋までに見込まれる衆議院議員選挙。こうした国会議員の選挙では、投票する地域によって「1票の価値」に差があることが長く問題になってきました。それを少しでも平等に近づけるため、小選挙区の範囲を定める「区割り」の改定という衆院選の仕組みを大きく見直す作業が始まりました。次期衆院選は現行定数で実施され、新区割りでの衆院選は2022年以降の見通し。また兵庫で変更はないとされていますが、多様な声をどのように国政に反映させるのかという有権者共通の課題として、議論を深める必要があります。

■格差2倍超は20選挙区

 国が6月に発表した2020年国勢調査の速報値で衆議院の小選挙区を比べると、最も少ない鳥取2区は27万4160人、最も多い東京22区は57万3969人です。どちらも選ばれる議員は1人。半分の人口で1人を選べる鳥取2区との「1票の格差」は2.094倍。1票の価値は、東京22区の2倍あるとも言えます。鳥取2区と比べ、格差が2倍超となるのは計20選挙区でした。

 1票の格差に関しては、すべての国民は平等だと定めた憲法に反する(違憲)として、何度も裁判が起こされてきました。差が2倍を超えていた衆院選について最高裁判所は、違憲の状態だったと判断し、くり返し国会に改善を求めています。

 具体的には、最大格差が2倍超の09、12、14年の衆院選を違憲状態と判断。1.98倍の17年衆院選は合憲としました。こうした流れを受けて今回、見直しが行われます。

 速報値公表を受け、衆院選挙区画定審議会(区割り審)が衆院小選挙区の区割り見直しに関する初会合を7月に開き、検討に着手しました。各都道府県知事に意見を照会した上で、11月の国勢調査確定値の公表後、具体的な作業に入るとみられます。

 区割り審は、速報値の公表から1年以内の来年6月までに改定案を首相に勧告。新たな区割りを反映した公選法改正案が国会で成立すれば、1カ月程度の周知期間を経て施行されます。

■人口反映しやすい アダムズ方式

 衆議院議員は現在、定数の465人のうち289人が、全国の小選挙区から1人ずつ選ばれます。残り176人は、全国を11に分けた比例ブロックから選出されます。

 今回の見直しでは、今までよりも人口を反映しやすい「アダムズ方式」という計算方法を使い、各都道府県に定数を配分し直します。選挙制度で各地域に議席定数を配分する方法の一つで、米国のアダムズ第6代大統領が提唱したとされます。

 09年衆院選を巡る11年の最高裁判決は、都道府県にまず1議席を与え、残りを人口比で割り振る「1人別枠方式」を1票の格差の要因として廃止を要求しました。一方、アダムズ方式では、小選挙区の場合、各都道府県の人口を「ある数X」で割り、商の小数点以下を切り上げて定数とします。都道府県の定数の合計が総定数と等しくなるようXの値を調整します。

 同方式は16年に成立した衆院選挙制度改革関連法により、20年国勢調査の結果に基づいて導入することが決まりました。

 新方式を用い、6月発表の人口で計算すると、15都県で「10増10減」を踏まえた見直しが必要です。埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知の5都県で選挙区が10も増え、宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県で10も減る大改革。都道府県間の最大格差は現行の1.970倍から1.695倍に縮小されます。

 比例ブロック定数もアダムズ方式により「3増3減」となります。東京2増、南関東1増。東北、北陸信越、中国は各1減。ブロック間の最大格差は現行の1.303倍から1.186倍に縮まります。

■地方の声 国会に届くか

 改革で小選挙区の数が減ると、どんなことが起きるでしょうか。例えば小選挙区が四つある県で、ある政党が1人ずつ候補者を立てて全員が当選していた場合、三つに減った次の選挙では1人が小選挙区から立候補しにくくなります。選挙区で選ばれた議員の多い自民党などでは、候補者の調整が難しそうです。新定数をにらんだ与党内のつばぜり合いは既に始まっているといいます。

 また、区割りが変わると、ある市町村が別の選挙区に移ったりします。議員からすると、支持者の多い地域が選挙区でなくなったり、有権者からすると、前回の選挙と候補者が全くちがったりすることもあり得ます。

 何より、1票の格差が縮小される一方で、都市部と地方との“格差”が生まれてしまいます。人口の多い大都市選出の議員ばかりが増えると、地方に住む人の意見が国会に届きにくくなるのでは、と心配する声は少なくありません。「地方切り捨て」との声も上がっています。

 地方の声をくみ取りながら、「1票の価値」の平等とどう両立させるか。有権者全員に問われているのです。

2021/8/29
 

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