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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 猛威を振るう新型コロナウイルスに、最前線で立ち向かう保健所のタフな働きが注目を集めています。ウイルスを抑え込むため、感染疑いの人がいれば、電話の問い合わせ対応から、医療機関への案内、PCR検査用の検体の回収、感染経路の追跡…と、さまざまな業務をこなします。そもそも保健所とは、どんな職種の人たちが働き、歴史的にどんな役割を果たしてきたのでしょうか。課題とともにひもといていきます。(佐藤健介)

■全国に469カ所 幅広い公衆衛生業務

 保健所は、地域保健法に基づき、都道府県や政令指定都市、中核市、特別区などが設置します。2020年4月1日現在で全国に469カ所あり、兵庫県内では、県が12カ所(健康福祉事務所)を設置。他にも政令指定都市の神戸市、中核市の姫路市、尼崎市、西宮市、明石市がそれぞれ1カ所ずつを置いています。

 保健所の役割は、地域住民の健康的な生活を実現するため、疾病の予防や衛生環境の向上に取り組むこと。そのため、医療・福祉分野の多彩な職種の人たちが働いています。具体的には、医師や薬剤師、獣医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、臨床検査技師、管理栄養士、歯科衛生士などです。

 幅広い業務の中で柱となるのが、予防接種や健康診断のほか、感染症や難病への対応、メンタルヘルスの現状把握や相談、エイズ検査、母子対象の保健指導などです。他に、飲食店、公衆浴場、旅館、理容室、クリーニング店、薬局の営業許可、ペット飼育や害虫駆除の相談、医療機関への立ち入り検査も行います。

■戦前は健康指導が主 戦後は結核対策に尽力

 保健所の誕生は、約80年前の戦前までさかのぼります。衛生状況が悪くて、結核で亡くなる人が多く、乳児期の死亡率も高かったため、衛生環境の向上が課題でした。政府は1937年4月に「保健所法」を制定して、保健所の設置を決めました。初期の保健所は、一般の人を対象に健康指導を行うなど、国民の体力向上や福祉の増進に取り組みました。戦争中の42年には、結核患者らに療養するよう求める指示命令など、知事らの権限が保健所長に移され、行政機関の性格も持つようになりました。

 終戦後は、社会全体の混乱や衛生状態の悪化、海外からの引き揚げ者の増加などで、結核やチフスといった感染症が大規模に広まり、流行を食い止めることが喫緊の課題でした。

 47年に、連合国軍総司令部(GHQ)の要請を受けて保健所法が改正され、保健所の機能を強化。それまで警察が担っていた急性感染症予防や食品衛生の業務が移管されました。

 保健師らは、結核に対応するため、患者宅を戸別訪問して濃厚接触者を調べ、療養方法を指導。医学の進歩もあり、51年に約59万人いた結核患者は89年には約5万人までに減りました。

 その後は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、老人福祉が課題となり、より身近な市町村に対応してもらおうと94年、政府は保健所法を「地域保健法」に改正。市町村が中心となって対応しています。

■行政改革で激減 9割が「人員不足」

 保健所は、引き続き感染症や難病、心の健康、食中毒など専門的な業務を担いますが、行政改革でその数は大幅に減少。89年の全国848カ所(兵庫県内41カ所)から、20年には469カ所(同17カ所)まで激減しました。

 一方、国が目指す医療費削減に向けた各医療機関の病床数の調整や、災害時の健康危機管理態勢の構築など、仕事は増えています。そこへ、新型コロナ対応が重くのしかかりました。

 共同通信が4月、兵庫など感染者の多い16都道府県の35保健所に行ったアンケートでは、9割の32保健所が「ぎりぎりで対応している」「事実上、限界を超えている」と回答しました。

 各保健所では、人員不足で、担当部署以外から応援に入るケースもあります。神戸市は来年度の保健師の採用枠を約20人から3倍近い約55人に増やし、合格者の一部を前倒し採用する方針を示しました。流行の第2波も予想され、保健所の態勢強化や負担軽減が急務となっています。

2020/5/31

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