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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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兵庫県健康増進課 諸岡歩さん
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兵庫県健康増進課 諸岡歩さん

 国民の健康の保持・増進や生活習慣病の予防のため、国が5年ごとに定める「日本人の食事摂取基準」が今月、改定されました。急速な高齢化を踏まえて健康寿命を延ばそうと、高齢者が要介護の一歩手前の状態「フレイル」(虚弱)に陥ったり、低栄養となったりするのを防ぐことに力点を置いています。併せて、中高年の生活習慣病発症や重症化の予防にも引き続き配慮する内容となっています。

■タンパク質摂取 介護に頼らぬ体づくり

 同基準は、健康増進法に基づいて、国民の健康・栄養に関する厚生労働省の調査や世界保健機関(WHO)のガイドラインなどを参考に策定。タンパク質や炭水化物など30種以上の栄養素について、それぞれどのような比率でエネルギーとして摂取するのが望ましいかを提示します。

 今回の改正で最大のポイントは、65歳以上の高齢者に対して全エネルギーの15~20%をタンパク質から摂取するよう示したことです。従来は、他の年代と同じ13~20%としていましたが、下限を2ポイント引き上げました。手前の世代の50~64歳についても下限を1ポイント上げて14~20%としました。

 タンパク質は、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに含まれます。これらを多めに食べるよう高齢者に勧めるのは、加齢に伴って筋肉量が減少する「サルコペニア」になったり、フレイルになったりするのを防ぐためです。

 栄養が不足して筋力が衰え、転倒リスクが高まり、運動量が減ると、自力での生活が難しくなります。高齢化が進む中、多くの高齢者が介護に頼らず生活できるよう健康寿命を延ばすことが大きな目的です。

■若年層は脂質控えて 生活習慣病防止を

 一方、日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防にも力を入れます。改定では、過剰に摂取すると糖尿病などのリスクが高まるとされる飽和脂肪酸について、新たに3~17歳の若年世代向けに摂取の目安を設けました。

 飽和脂肪酸は肉やバターなどに多く含まれます。新基準は、実際に摂取状況を調査した上で、各年代の中央値を採用しました。具体的には、3~14歳で、摂取するエネルギー全体の10%以下、15~17歳で8%以下と定めています。

 糖尿病が強く疑われる人の割合は30代以降に増えていくため、若いときから食生活に気を付けてもらうのが狙いです。今回は変更していませんが、18歳以上の基準値はすべて7%以下としています。

 併せて、高血圧や心疾患のリスクを抑える効果があるとされ、野菜や果物などに多く含まれるカリウムについても、3~5歳の摂取目標量を新たに設定。1日1400ミリグラムとしました。15~74歳では男性が3000ミリグラム、女性が2600ミリグラムとしています。

■全世代に減塩推奨

 全世代に求めたのが、減塩です。ナトリウムの摂取目標(食塩相当量)を、3歳以上について年齢区分ごとに0.5~1グラム減らしました。男性は15歳以上で7.5グラム未満、女性は12歳以上で6.5グラム未満などと定めています。

 日本人は塩分の摂取量が多く、ナトリウムを減らすことは大きな課題です。近年は減塩が進んでいますが、それでも20歳以上の平均で、男性は1日11.0グラム、女性は同9.3グラムを摂取しており、日本高血圧学会が勧める同6グラム未満を大きく上回っています。世界保健機関(WHO)はさらに少ない同5グラムを推奨しています。

 健康寿命を延ばすには、さらに意識を高める必要がありそうです。

【日本人の食事摂取基準】国民の健康の保持・増進を図る上で望ましいエネルギーと各栄養素の摂取量を示した基準。5年ごとに改定される。高齢化や生活習慣病の増加に対応するため、2003年に施行された健康増進法に基いて厚生労働大臣が定める。

     ◇

【教えて!先生】

■兵庫県健康増進課・諸岡歩さん

 新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を受け、自宅で過ごす高齢者は増えている。どうしても活動量や食欲が減って、筋肉量も知らず知らずのうちに落ちてしまいがち。健康な人でも、要介護の一歩手前の状態「フレイル」(虚弱)への悪循環に陥る可能性が高まってしまう。

 感染症予防で大切なのは、バランスのよい食事を取って、生活のリズムを整えること。買い物に行けないからと、菓子パンなどで簡単に済ませていたら心も体も痩せる。宅配サービスなども上手に活用し、免疫力を高めるよう気を付けて。

 数年前の大阪医科大などの研究グループの研究によれば、兵庫県の女性は「大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ)骨折」になった割合が全国で最も高かったという。股関節に接する部分で、骨折すると介護が必要になる場合が多い。県としても「シニアはメタボリック症候群よりフレイル対策を」と、しっかりかんで三食ともバランスのよい食事をすることの重要性を訴えている。

2020/4/19

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