連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

【特集】ニュース解く説く TOKTOK

  • 印刷
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
化学品メーカーのMORESCO(モレスコ)が開発する有機薄膜太陽電池=神戸市中央区港島南町5
拡大
化学品メーカーのMORESCO(モレスコ)が開発する有機薄膜太陽電池=神戸市中央区港島南町5

 2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を実質的になくす-。菅義偉首相が昨年秋に出した宣言で、「脱炭素社会」に向けた動きが加速しています。豪雨被害や記録的な猛暑などが続き、地球温暖化を多くの人が実感するようになりました。脱炭素で何が変わるのでしょうか。国、兵庫県などは計画や指針で、30年後の未来のあるべき姿を示しています。少し、のぞいてみましょう。(山路 進)

■電気や水素で CO2出さない車

 まちを歩くと、車を見ない日はないでしょう。その大半は、ガソリンや軽油を燃料とするエンジンで動いています。ガソリンと電気の両方で動くハイブリッド車を含め、ほぼ全ての車はCO2を排出しており、30年後にCO2を出さない車への転換を目指しています。

 走るのはモーターで動く電気自動車(EV)です。国内では09年から普及し始めました。ガソリンスタンドに代わる電気ステーションや住宅で、車にケーブルをつないで充電します。所要時間はステーションで40~60分、住宅では半日前後かかることが課題です。

 もう一つは、酸素と水素の化学反応で発電する燃料電池(FC)でモーターを回す燃料電池自動車(FCV)。水素ステーションで水素を入れて走ります。補充は数分で済みますが、ステーションは全国に140カ所余り。兵庫県内では神戸、尼崎、姫路の3カ所にすぎません。今は1台700万円以上と高額です。

 FCは乗用車やバイクはもちろん、クレーンなどの工事機械や農業機械、船などあらゆる乗り物の動力になります。水素は脱炭素化を実現する鍵とされ、国や企業が各地で実証実験を進めています。

 川崎重工業(神戸市中央区)などは、世界初の液化水素運搬船を造りました。豪州で低品位石炭からの水素精製も始まっています。液化した水素を専用船に積み、神戸空港島(同)のタンクへの運搬も年内に始動します。水素をつくるときに出るCO2も逃さず、地下への密封を目指しています。

 福島県浪江町では昨年3月、水道水を電気で分解し水素を精製する施設が稼働しました。特長は電気分解のための電気を太陽光発電で賄うこと。30年後には再生可能エネルギー(再エネ)で生み出されたCO2フリー水素が日常的に使われています。

■住宅、オフィス 太陽光の利用強化

 それでも、全てのエネルギーを水素で賄えません。国は昨年12月、脱炭素が実現した50年に想定される国内総発電量を示しました。現在は火力発電(天然ガスや石炭、石油など)が76%、原発が6%を占めます。これらを30~40%にし、太陽光や風力、水力などの再エネを18%から50~60%に引き上げて、水素発電所も稼働し始めます。

 大量のCO2を出す火力発電所や鉄鋼業も変わります。排気から回収したCO2を化学反応でメタンガスに変え、燃料に利用することも見込まれます。鉄をつくる高炉に水素を投じ、CO2排出量を実質的になくす製鉄所の登場も期待されます。

 電力の地産地消も重要です。地域で必要な電力を賄うマイクログリッドという構想です。発電は木材チップや廃棄物などのバイオマスや太陽光、風力などに頼ります。川の流れを生かす小水力発電や、農地の上に据え付けた太陽光パネルで発電しながら、作物を育てるソーラーシェアリングも拡大。災害で大規模発電所が停止してもその地域の電力は供給される仕組みです。

 街では、全ての住宅の屋根に太陽光パネルが付けられます。技術開発で屋根や外壁の断熱材や家電、給湯器、蓄電池の能力は格段に向上します。新築では年間のエネルギー消費量がゼロのゼロエネルギーハウス(ZEH)が当たり前になります。EVやFCVからの給電装置(V2H)も普及します。

 オフィスも同様です。屋上緑化とともに、太陽光発電できる透明なシート状の有機薄膜太陽電池が窓や外壁に張られるゼロエネルギービル(ZEB)が並びます。高強度の木材を使った木造ビルも増えます。コロナ禍で広がるテレワークやオンライン会議は、移動に伴うエネルギーの抑制にもつながります。

 これらの実現には、技術革新とコスト低減が欠かせません。30年後、さらに思いもつかない技術が生まれるかもしれません。ですが、エネルギーの無駄遣いをなくすための私たちの努力も必要でしょう。

2021/4/11
 

天気(7月28日)

  • 31℃
  • 26℃
  • 40%

  • 31℃
  • 24℃
  • 60%

  • 32℃
  • 26℃
  • 30%

  • 30℃
  • 25℃
  • 60%

お知らせ