連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

【特集】ニュース解く説く TOKTOK

  • 印刷
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT

 介護を必要とする高齢者らを社会全体で支えるための介護保険制度。財源の一つとして、65歳以上の人が毎月支払う保険料は今年4月、全国平均で6014円と初めて6千円を超え、制度が始まった2000年度(2911円)の倍以上に膨らみました。一方で金額は自治体ごとに差があります。どのように計算されるのでしょうか。高齢化の進行でさらなる値上げも見込まれる中、新型コロナウイルス禍に配慮して負担軽減とサービス充実を両立させようとする動きも。その仕組みを課題とともにひもときます。(佐藤健介)

■サービス総額見込みや収入などで決定

 施設や自宅での介護、福祉用具の貸与・購入、住宅改修といった介護保険サービスにかかる総費用のうち、半分が税金(国、都道府県、市区町村)、残り半分が加入者の保険料でまかなわれます。保険料は65歳以上の人(第1号被保険者)が23%、40~64歳(第2号被保険者)が27%を負担しています。

 65歳以上については3年ごとに見直されます。1期3年とした計画で、制度がスタートした第1期(00~02年度)から上昇を続けており、物価高で目減りする年金頼りの高齢者らにとって重荷となっています。

 金額は市区町村によって異なり、現在、最も高いところと低いところでは約3倍も開きがあるのです。理由は、保険料の計算式を見れば分かります。

 市区町村が行う介護保険サービスの総額見込みに、65歳以上の負担割合となる23%を掛け、65歳以上の人数で割れば、基準額(年額)が算出されます。この基準額に、課税の有無や所得水準などに応じて段階的に設定された乗率を掛け、保険料を決定するのです。

 主な変動要因は、介護保険サービスの総額見込みです。つまり「介護を要する高齢者がどれだけいるか」「どれほど多くのサービスを住民が使っているのか」などで差が生まれます。

 ただし、保険料の高い安いだけで、住みやすい自治体かは判断できません。高いのは介護環境が手厚いからで、逆に安いのは利用できるサービスが少ないか、あるいは介護予防策が充実しているからという可能性も考えられます。地域特性を見極めて“介護の実力”を測るべきでしょう。

■自治体間で格差 介護予防で抑制も

 一般的には、高齢化率や要介護認定率が高い自治体で保険料がかさむ傾向にあります。高齢人口が増加の一途をたどる今、保険料で高齢者の暮らしが圧迫されることが懸念されます。

 今回第8期(21~23年度)の保険料改定では、頻発する自然災害に加え、新型コロナ感染拡大による負担にも配慮し、半数近い市区町村や広域連合が基準額を据え置くか引き下げました。引き上げは48.6%に上る一方、引き下げは15.2%、据え置きは36.2%となっています。

 保険料を抑制するため、自治体によっては介護予防の取り組みが奏功しています。しかし、保険料の余剰金を積み立てた基金を取り崩したケースも多く、“一時しのぎ”という側面は否めません。先行きは、決して安心とは言えません。

■滞納者過去最多 制度維持へ議論を

 各地域の介護事情を反映している保険料。安く抑える努力がなされているとはいえ、このまま高齢化が進めば上昇に歯止めをかけるのは容易ではありません。厚生労働省は、団塊の世代が全員75歳以上になる25年度の保険料は6856円になると推計しています。

 事態をより深刻化させているのが、保険料を支払えない高齢者の増加です。厚労省によると、保険料を滞納し、18年度に市区町村から資産の差し押さえ処分を受けた65歳以上の人は全国で約1万9千人に上り、過去最多を更新しました。

 制度を維持するため、本格的な議論をする時期にきています。公費や高所得者の負担割合を増やしたり、保険料を支払う年齢を広げたりするほか、介護保険の給付対象を見直すなど、幅広い視点での議論が求められそうです。

2021/7/4
 

天気(10月17日)

  • 21℃
  • ---℃
  • 40%

  • 17℃
  • ---℃
  • 70%

  • 21℃
  • ---℃
  • 50%

  • 20℃
  • ---℃
  • 60%

お知らせ