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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、感染者と接触した可能性があると分かったら本人に通知するシステムの導入が、兵庫県や大阪府など全国の自治体で進んでいます。国も濃厚接触者に向けた独自の通知アプリを開発しました。ただ、住民や事業者に十分浸透しているとは言い難いのが実情です。それぞれの追跡システムの仕組みや特徴を調べてみました。(前川茂之)

■大阪府が開発、兵庫も導入

 自治体として、感染者追跡システムを導入する考えを最初に示したのは、大阪府の吉村洋文知事です。5月12日の記者会見で「感染拡大防止と保健所業務の負担軽減が図れる」として、府独自のシステムを開発したことを明かしました。

 当時は、全国的に感染者が減り始めていた時期でした。政府が「第2波」に備えて、感染者と接触した可能性を通知するスマートフォン用のアプリを約4500万円かけて開発中でしたが、大阪府のシステムは開発費が約80万円と安価な上、短期間で導入できるメリットがありました。

 現在、大阪と同様のシステムを採用するのは17都道県(8月20日現在)。兵庫もその一つで、7月10日から運用しています。

 仕組みは、まず不特定多数の人が集う施設やイベント業者の協力を得て、QRコードを店頭などに掲げてもらいます。利用者が入店する際に携帯電話でQRコードを読み取り、メールアドレスを登録しておくと、感染者がその場所を訪れていたと分かったとき、利用者に一斉に通知されます。

■利用者伸び悩み、普及へ特典も

 大阪と兵庫のシステムの違う点は、兵庫は無料通信アプリ「LINE(ライン)」のアカウントでも登録が可能なこと。そして感染者が判明した場合に施設名を公表するか否かです。

 大阪は、立ち寄った場所で感染者が出たことは通知しますが、クラスター(感染者集団)に認定されなければ、店名などは知らせません。より多くの事業者に協力してもらうためです。

 一方、兵庫は、感染者が少なくても感染拡大が危惧されれば、施設名や感染者が利用した日付などを通知します。立ち寄った場所ごとにQRコードで登録するため、担当者は「場所を示さないと、どこで接触の可能性があったか分からず、逆に混乱する」と言います。

 ただ、各自治体とも利用者数は思ったほど伸びていません。大阪は8月20日時点で店舗や事業者の登録数が約3万2千件、利用者数は延べ約130万人。飲食店に限れば概算で3割程度です。兵庫の登録事業者数はLINE版が約1万件、メール版は約9千件。利用者数は延べ約11万8千人(いずれも20日時点)です。

 大阪府の担当者も「まだまだ認知度不足」と認めます。このため17日から、登録すれば、吉本興業の観劇チケットが当たるなどの特典がある「大阪マイル」の運用を開始。キャッシュレス決済機能の付いたアプリの開発も進めており、てこ入れに取り組みます。

 他にも茨城県が事業者側にシステムの登録を義務付ける条例案を全国で初めて発表するなど各自治体とも普及に知恵を絞っています。

■国もアプリ運用/自治体システムと併用理想

 一方、国が開発したスマホ向けの接触確認アプリ「COCOA(ココア)」は、6月から運用が始まっています。

 スマホに搭載された近距離無線通信「ブルートゥース」を利用して、アプリ取得者同士が1メートル以内に15分以上いると、互いのスマホに接触記録が残ります。後日、陽性になった人がアプリで申告すると、接触記録がある人全員に「陽性者との接触確認」と通知される仕組みです。

 ダウンロード数は1405万件ですが、陽性者から報告があったのはわずか335件(いずれも8月20日時点)。アプリが効果を上げるには国民の6割超の利用が必要とする研究もあります。厚生労働省は、感染者と濃厚接触した可能性があると通知された人について、希望すれば無料でPCR検査などを受けられるよう自治体に通知しました。

 兵庫県でも、県の接触追跡システムで通知を受けた登録者は、無症状でも希望すれば、無料で受けられるようになりました。

 自治体が運用する接触追跡システムと、国の接触確認アプリ。併存する二つの関係について、兵庫県の担当者は「相互補完的に使えばより効果が高まるはず」と話し、どちらも活用するよう呼び掛けています。

2020/8/30

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