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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 最高時速500キロ、東京・品川と名古屋をわずか40分で結ぶリニア中央新幹線の開業準備が2027年を目指して進んでいます。“夢の超特急”とも呼ばれ、期待感は着実に高まっていますが、水資源の保護を理由に静岡県が工事を認めないなど、曲折も予想されます。日本の技術の粋を集めたリニア計画の現状や課題、展望をまとめました。(安福直剛)

■磁力で浮上、推進最高時速500キロ

 現在、国内最速の新幹線は時速320キロ。これをはるかに上回るため課題となったのが、レール上を走る際の車輪の空転でした。解決のために考案されたのが、磁力で車体を浮かせて推進させる仕組みです。

 磁石にはN極とS極があり、同じ極同士だと反発し、違う極なら引き合います。リニアで使うのは、通電すると磁力が発生する電磁石。電流の向きによってN極とS極を切り替えることもできます。

 車両の側面には、半永久的に電気が流れる「超電導磁石」のN極とS極が交互に並べられています。凹型の軌道(ガイドウェイ)の内側の側面にも、電磁石が並んでいます。

 超電導磁石はエネルギーロスがなく、強い磁力を生み出せるので重い車両を浮かせることができます。車両側と軌道側の電磁石の反発と吸引をうまく制御して車両を前に進ませ、N極とS極の切り替え速度を変えてスピードを調整します。

 JR東海によると、車体を浮かせると、車輪とレール、架線とパンタグラフの摩擦がなくなり、騒音も従来の新幹線より軽減されるといいます。

■3大都市圏結び 東京一極集中解消へ

 この「超電導リニア」と呼ばれる技術の研究は、新幹線開通以前の1962年、当時の国鉄が始めました。列島を横断する中央新幹線の構想も、国内の鉄道網整備を図る全国新幹線鉄道整備法に基づき、73年に基本計画が示されています。

 リニア中央新幹線にはさまざまな役割が期待されます。その一つが、首都圏、中部圏、近畿圏という3大都市圏を短時間で結ぶことによる交流の促進です。

 東海道新幹線は、年間1億7400万人(2018年度)を運び、日本の発展に寄与してきました。リニア開通でさらに交流が増えれば、東京一極集中の解消や、交流人口増加に伴う周辺地域の活性化などが期待できそうです。

 もう一つは代替機能としての役割です。1964年に開業した東海道新幹線は、橋やトンネルなど構造物の老朽化が進んでいます。将来的に大規模な工事が必要となった場合、リニア中央新幹線で代替できます。

 近い将来に予測される南海トラフ巨大地震が発生すれば、太平洋沿岸を通る東海道新幹線が長期にわたり使えない事態が予想されます。リスク分散を図るためにも、バイパス機能の存在が必要とされています。

■静岡県工事認めず 開業延期可能性高まる

 リニア中央新幹線の品川-名古屋間(285.6キロ)は2027年の開業を目指しています。大阪までの全面開通は37年の予定で、当初計画より前倒しされ、関西の経済界なども歓迎しています。名古屋以西の詳細なルートは未定です。

 国土交通省の認可を受けたJR東海は14年、着工しました。ターミナルとなる品川、名古屋両駅をはじめ、各地で工事が本格化していますが、ルートの約86%をトンネルが占めるため、難工事が予想される場所もあります。

 16年には、ネットワークをつくった沿線住民が、JR東海による安全対策や環境保全の取り組みが不十分だとして、国に対して工事の認可取り消しを求めて東京地裁に提訴しました。現在も係争中です。

 また、静岡県は、山梨、静岡、長野3県を貫くトンネルの工事に伴い大井川近くで発生する湧き水の一部が、トンネルを伝って山梨、長野両県に流れ出て、大井川に戻らず、下流域の農業用水などが不足し、自然環境にも影響を与える恐れがあると懸念。JR東海に工事を認めず、開業延期の可能性が高まっています。

 課題山積のまま動きだした巨大プロジェクト。関西広域連合長でもある井戸敏三・兵庫県知事は「JR東海は、科学的な事実に基づいた対策を静岡県に示して理解を求めるべき。その上で早く工事を再開して大阪までの完成を期待したい」とコメントしています。地元の理解を得た上で丁寧に事業を進め、「夢」を乗せた超特急が走る日が待たれます。

2020/9/6

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