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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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第22回LG杯朝鮮日報棋王戦決勝3番勝負の第3局で中国の棋士に敗れた井山裕太七冠(当時)=東京都内
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 18歳の高校生棋士、藤井聡太二冠=王位・棋聖=が活躍して将棋界が盛り上がっていますが、囲碁界でも20代前後の若手棋士が次々と頭角を現してきました。将棋と違って囲碁には中国や韓国の棋士と争う国際棋戦があり、日本の若手は多くが「世界」を目標に掲げます。囲碁の国際棋戦にはどんなものがあり、日本の力はどのくらいの位置づけになっているのでしょうか。(溝田幸弘)

■立場が逆転

 国際棋戦は、1980年代から、各国で盛んに開かれるようになりました。各大会で、主に日本、中国、韓国のプロ棋士が激しく争っています。

 当初は日本勢が中韓を圧倒していました。主な世界選手権の国・地域別優勝回数を見ると、日本で第1回富士通杯が開催された88年から95年までは日本が11回だったのに対し、韓国は3回、中国は1回で、大きく差をつけていました。

 しかし、その後、立場が入れ替わります。96~2000年の5年間では、韓国が13回優勝しましたが、日本は6回と大きく水をあけられています。21世紀に入ると中国も力を伸ばし、01~20年は、韓国の53回に対し中国は43回と拮抗(きっこう)。11年以降の10年間を見ると中国25回、韓国21回と逆転しています。

 対する日本は21世紀に入って優勝は4回のみ。国内で七大タイトルを2度独占し、10年以上第一人者として君臨する井山裕太天元(31)=棋聖・名人・本因坊=も、13年にテレビアジア選手権を制しましたが、その他の主要な国際棋戦では苦戦しています。18年には第22回LG杯朝鮮日報棋王戦で決勝3番勝負に進みましたが、中国の棋士に1勝2敗で敗れました。

■中韓、国挙げて強化

 現在は中韓の後塵(こうじん)を拝する日本ですが、前述したように20世紀末ごろまで世界のトップを走っていました。

 韓国棋院の設立に尽力した趙南哲(チョナムチョル)九段は、多くの有名棋士を輩出した木谷実九段(神戸市出身)の門下。日本で腕を磨き、韓国に戻って普及に努め、後進には日本への留学を積極的に勧めました。「昭和の大棋士」と呼ばれた、中国の呉清源九段も日本で才能を開花させるなど、世界の才能が日本に集まっていました。

 転機の一つは、84年から2001年まで行われた日本と中国の棋士による団体勝ち抜き戦「日中スーパー囲碁」です。中国は、第1回から3年続けて日本に勝ちました。劣勢とみられていた中国チームの活躍は、中国での囲碁熱沸騰に大きな役割を果たしました。その後、国を挙げて強化に取り組んできました。

 また、韓国では92年、李昌鎬(イチャンホ)九段が15歳で最年少の国際棋戦優勝を果たすと、国内に子ども囲碁教室が次々と新設されました。

 国際囲碁連盟の2016年のまとめによると、中国の推定囲碁人口は3千万人、韓国800万人に対し、日本は400万人です。裾野の広さに加え、強化方法の違いもあり、中韓両国では毎年のように有望な新人棋士が誕生しています。

■巻き返しへ、棋士育成

 日本でも近年、国際棋戦での成績向上を目指した取り組みが始まっています。

 まず、各棋戦の持ち時間が見直されました。1人6時間程度だったのが、タイトル戦を含めて多くの棋戦で、国際戦で主流の3時間に短縮されました。

 13年度には日本棋院と関西棋院が共同でナショナルチーム「GO・碁・ジャパン」を結成。世界で勝てる棋士の育成に努めており、少しずつその成果が実りつつあります。

 一力遼碁聖(23)は今年9月、世界トップクラスが出場する第9回応氏杯世界選手権で4強入りを決めました。また、芝野虎丸二冠(21)=王座・十段=は18年の第4回日中竜星戦で当時「世界2強」の一角とされた柯潔(かけつ)九段を破っています。

 女流棋戦でも今年9月、第3回呉清源杯世界女子囲碁選手権で、上野愛咲美扇興杯(19)が女性世界トップといわれる韓国の崔精(チェジョン)九段から勝利を挙げました。

 さらに日本棋院は18年度、より早い段階から才能を見いだし育てることを目的に、原則小学生を対象とした「英才特別採用推薦棋士制度」を新設しました。プロ入り当時10歳で、最年少プロ棋士として話題となった仲邑菫(なかむらすみれ)初段(11)はその第1号。「世界で戦える棋士になりたい」との抱負を、大勢の若手棋士が口にするようになりました。今やタイトル獲得と並ぶ目標となっています。

 世界という大舞台で、日本勢の巻き返しなるか。今後に期待が高まります。

【囲碁の歴史】囲碁の始まりは異説はあるが、4千年前の中国といわれる。日本では奈良時代には貴族の間で流行していたという。江戸時代に飛躍的に発展し、明治に入って世界に広がり始める。将棋型ゲームが各国で駒や盤面などが違うのに対し、囲碁は細かいルール以外が共通しているのも国際化を後押し。国際戦で中国や韓国勢の活躍により、各国で囲碁に対する人気が高まり、一気に国際棋戦が増えた。

2020/11/29
 

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