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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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育休を取った男性。わが子の成長を日々実感する=神戸市内
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父と子の手と手。男性も育休で絆を深められる=洲本市内
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育児支援会社が作った育休ガイドブック。男性の心構えなどをまとめている
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神戸新聞NEXT
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 仕事を離れ、一定の収入を保障されながら、子育てに専念する「育児休業」。心身ともに女性に大きな負担がかかる出産後に、男性の利用を促すよう、国が制度の見直しを進めています。男性が利用できる産休制度の新設など、より柔軟に休みが取れるようにする点が柱です。政府が2月に育児・介護休業法の改正法案などを閣議決定し、今通常国会での法改正を目指しています。ただ、低迷する男性の育休取得率を押し上げるには、職場環境や父親としての意識改革など、課題が山積しているようです。(佐藤健介)

■「男性版産休」創設 最大4回休み可能に

 男性育休の取得促進については、2019年に推計出生数が過去最少の86万4千人となった「86万ショック」も背景に、厚生労働省が労使代表者らでつくる審議会で議論を進めてきました。

 改正法案では、出生後8週間以内は合わせて4週分の休みを2回に分割して取得できる制度を設けます。「出生時育児休業(男性版産休)」と銘打ち、産後の女性が退院する時や、里帰り出産した実家から帰宅する際に休むケースなどを想定したということです。

 この新設される「男性版産休」の2回取得と合わせ、原則1回だった育休を2回に分割できるようにします。男性は最大4回の休みが取れるようになり、より柔軟に休めるように。継続的な育児参加や、職場復帰のサポートを図ります。

 また、従来は1カ月前までだった育休の申請期限を、原則2週間前までに短縮します。企業には従業員への周知を、従業員千人超の大企業には従業員の育休取得率の公表を義務付けます。

 さらに、有期契約の非正規労働者については「雇用期間1年以上」という要件をなくすとしました。

 男性版産休は22年10月、企業への制度周知の義務付けは22年4月、大企業の育休取得率の公表義務は23年4月の開始を、それぞれ想定しています。

■政府目標に遠い取得率 企業の環境未整備大きく

 出生直後の取得促進に焦点を当てたのは、妊産婦の孤立や心身の不調が深刻化しているからです。

 出産直後は、睡眠不足やホルモンバランスの崩れなどで、不眠や食欲不振、自責の念などの「産後うつ」に至ることもあります。国立成育医療研究センターなどの研究では、15~16年に妊娠中から産後1年未満に亡くなった女性の死因は自殺が最多で、産後うつの影響がうかがえます。また、育児放棄や虐待が起きると、子どもが発達不全になるおそれもあります。

 こうした事態を防ぐためにも、配偶者の男性が継続的に子育てを担うべきなのですが、積極的に育休を取る男性は少数派です。厚労省の雇用均等基本調査によると、19年度の男性の取得率はわずか7.48%で、女性(83.0%)に比べて大きく開きがあります。男性の育休取得率を「25年に30%」とする政府目標にはほど遠い状態です。

 17年度に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが厚労省の委託で、育休を利用しなかった男性社員の理由を調べたところ、「職場の人手不足」「会社の制度が未整備」「育休を取りづらい職場の雰囲気」が、上位を占めました。「自分しかできない仕事がある」「収入を減らしたくない」「キャリア形成に悪影響」との回答も寄せられています。

 結果からは、主に企業側の要因が見て取れます。経営者のリーダーシップの下、休みやすい環境づくりや、属人的な働き方の再検討が必要です。

■夫婦で役割分担 育児の大変さ共有を

 ただ、育休を「取るだけ」では意味がありません。

 「育休を取ってもだらだら。結局、家のことは私がやった」「家事をしてこなかったのでスキルが足りない」-。

 子育て情報サービス会社「コネヒト」(東京)と日本財団が19年秋に行った調査には、育休を取った男性の妻から不満の声が相次いで寄せられました。男性が家事・育児に関わる時間は「1日2時間以下」が3割以上で、意識の低さを示す結果となっています。

 同社は「夫婦で役割分担を話し合い、家事や育児の全量や、やり方を確認すべき」と指摘。そうすることで「悩みや大変さを共有し、孤独でなくなった」「育休で自信がつき、職場復帰後も育児に参加している」といったメリットを感じる人が増えるとしています。

 小さな命と向き合う利点を、官民挙げて明確に発信することが求められます。

【育児休業制度】1992年に施行された育児休業法に基づく。期間は原則として子どもが1歳になるまで(誕生日の前日)。保育所に入れない場合などは2歳になるまで延長可能。雇用保険による育児休業給付金の支給額は、最初の半年は賃金の67%で、それ以降は50%。保険料は免除される。育休を理由とした解雇や降格は禁止されている。2005年施行の改正法で、パートや契約社員など有期雇用でも、育休が取れるようになった。さらに10年にも改正法が施行され、父親と母親が交代で休む場合は1歳2カ月まで延長できる「パパ・ママ育休プラス」など、男性の取得促進策も盛り込まれた。

2021/3/7
 

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