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【特集】ニュース解く説く TOKTOK

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 菅義偉首相は昨年10月の所信表明演説で、2050年までに地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」の実現を目指すと表明しました。欧米を中心とした世界的な流れに乗る方向にかじを切りましたが、多くの困難を乗り越えなければなりません。有望な洋上風力は欧州が先行し、脱ガソリン車の筆頭とされる電気自動車でも日本は立ち遅れ、劣勢のスタートです。目標達成に向けた国や兵庫県の動きなどをまとめました。(井上 駿)

■米がパリ協定復帰 世界の流れ加速

 温室効果ガスの排出実質ゼロは「ネットゼロ」ともいい、人間の活動から出る二酸化炭素(CO2)などの排出量と、森林などが吸収する量を等しくすることを指します。20年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際枠組みとして締結された「パリ協定」では気温の上昇を産業革命前より1・5度に抑える努力を追求すると明記しています。目標達成には、温室効果ガスを50年に世界全体で実質ゼロにする必要があり、120以上の国と地域がこの目標を掲げています。

 トランプ前米大統領は17年の就任直後、パリ協定からの離脱を表明しましたが、大統領選に勝利したバイデン氏は就任直後、復帰に署名しました。脱炭素を重要政策に据え、政権1期目の4年間で約214兆円をクリーンエネルギーなどのインフラに投資することを表明し、発電部門で生じる温室効果ガスを35年にはゼロにする目標も掲げています。

 欧州では、新型コロナウイルスからの経済復興と脱炭素の両立を狙った財政出動「グリーンリカバリー」を進めています。世界最大の排出国の中国も太陽光発電の増設を急ピッチで進めており、習近平国家主席も昨年9月、「60年までに実質ゼロ」を表明しました。

■再生可能エネルギー 風力は30年遅れ

 「脱炭素社会」を掲げた菅首相は、今年1月の施政方針演説で、次世代の太陽光発電や蓄電池などの技術開発に2兆円の基金を創設し、炭素排出量に価格をつけて企業や個人が負担する「カーボンプライシング」の導入に触れています。脱炭素の実現には、発電や石油精製などエネルギー転換分野での取り組みが欠かせません。石炭や液化天然ガス(LNG)などの化石燃料から、再生可能エネルギー(再エネ)への転換が急務です。

 政府は、40年の目標として、海上に設置した巨大な風車で発電する洋上風力発電を再エネの柱とし、原発45基分の規模に拡大することを定め、21年度予算案に関連経費を盛り込みました。先行する欧州からは「30年遅れ」とも言われ、現状ではほとんど実用化されていません。陸上風車の開発から撤退しているメーカーもあり、技術開発や人材育成に課題が山積しています。また、国の計画は、原発再稼働にも言及していますが、安全性などの問題を抱え、理解が得られるのかは、不透明です。

 自動車業界など産業界にも慎重な姿勢がみられます。政府は30年代前半には「脱ガソリン車」を掲げる一方、水素をエネルギー源とする燃料電池車や、電気でモーターを動かす電気自動車の普及は進んでいません。ガソリンと電気を併用して走るハイブリッド車は日本に強みがあるため、方針転換は簡単ではありません。

■兵庫の排出ゼロ表明 県と神戸、明石のみ

 兵庫県は2050年のCO2排出実質ゼロを昨年9月、国に先んじて表明しました。環境省によると1月22日時点で、209の自治体が同様の表明をしていますが、県内では、ほかに神戸、明石の2市にとどまっています。

 県は、再生可能エネルギーへの代替に向けた技術革新や化石燃料に頼らない生活スタイルへの転換を前提に宣言をしました。現在、「地球温暖化対策推進計画」の見直しを進めています。30年の温室効果ガスの削減目標を13年度比26.5%から、35~38%に引き上げました。太陽光発電の拡大や電気自動車、燃料電池自動車の普及、省エネなどで対応できるとしています。

 実質ゼロ実現に向け、水素の積極活用や乗り物やサービスをインターネットで賃借したり、売買したりするシェアリングエコノミーの定着など、「くらし」「しごと」「まち」「さと」といった分野で方向性をまとめています。

 県温暖化対策課によると、瀬戸内海沿岸部に重厚長大産業が集積しているため、産業部門の排出量が全体の66%を占めており、全国の産業部門と比べると、約1.7倍。同課の担当者は「目標の実現には、取り組みを着実に進め、企業との連携が欠かせない」としています。

2021/1/31
 

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