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20年間の借り上げ期限が来たキャナルタウンウェスト4、5号棟の前で、被災当時を振り返る中村輝子さん=31日午後、神戸市兵庫区駅南通5(撮影・笠原次郎)
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20年間の借り上げ期限が来たキャナルタウンウェスト4、5号棟の前で、被災当時を振り返る中村輝子さん=31日午後、神戸市兵庫区駅南通5(撮影・笠原次郎)

 阪神・淡路大震災の被災者に神戸市が提供した借り上げ復興住宅「キャナルタウンウェスト」4、5号棟(同市兵庫区)で31日、同市と都市再生機構(UR)との20年間の借り上げ契約期限が切れた。4世帯が明け渡しに応じず、その1人、中村輝子さん(80)は震災で夫を亡くし、家財もすべて失ってたどり着いた“安住の地”の継続入居を求める。(高田康夫)

 震災時、同市兵庫区中道通6に住んでいた中村さんは、夫正直さん=当時(67)=と、倒壊した木造2階建ての自宅に閉じ込められた。中村さんは息子に助けられたが、正直さんは足を挟まれた。

 その後、2軒離れた建物から火柱が上がり、自宅も延焼。自力ではい出した正直さんは近くの病院に運ばれたが、体の3分の1をやけどし、翌18日、息を引き取った。

 自宅跡の借地は地主に返還を求められ、再建を断念。復興住宅としてキャナルタウンウェスト4号棟に当選し、震災から2年弱を経て1996年11月に入居。同区で生まれ育った中村さんは「慣れ親しんだ場所で落ち着ける」と喜んだ。ただ、その時点で「借り上げ」とは知らず、入居許可書に期限も書かれていなかった。

 震災から21年が過ぎ、神戸市は転居を求めるが、中村さんは狭窄(きょうさく)症を患い、病院通いが続く。「医者も近所の人も私を知ってくれていて、『輝ちゃん』と声を掛けてくれる。もうこの場所でしか生きていけない」と話す。

 中村さんを含む4世帯は11月以降も当面はこれまで通り生活ができる見込みだが、神戸市は明け渡しを求めて提訴する方針。既に、今年1月30日に市内で初めて借り上げ契約期限が切れた1~3号棟では、住居を明け渡さなかった3世帯を相手取り同市が提訴している。

■「継続」条件に不公平感

 借り上げ復興住宅の入居期限を巡っては、兵庫県や市ごとに、継続入居を認める要件が異なる。キャナルタウンウェストの棟には、兵庫県と神戸市の借り上げ住宅が入り交じり、同じ被災した住民の間で対応が違うことが、不公平とも映っている。

 神戸市は、85歳以上で要介護3以上、重度障害者がいる世帯の継続入居を認め、それ以外の世帯については別の市営住宅を予約すれば、その住宅が空くまでの最長5年間の猶予を認めている。

 一方、兵庫県は要介護度や障害程度は神戸市と同じ基準。ただし年齢は原則80歳以上とし、70代以下の世帯でも、住み替えが難しい状況などを判定委員会が認めれば、明け渡しを求められない。これまで2度の判定で、計154世帯の継続入居を認め、計3世帯を継続不可とした。75歳以上なら、ほぼ継続入居が認められている。

 キャナルタウンウェスト4、5号棟には、神戸市の要件で継続入居できる13世帯、市営住宅の予約で転居が猶予された19世帯、中村輝子さんら継続入居が認められない4世帯などが混在。ほかの棟には県が借り上げた住戸があり、80歳で病気を患い、病院に週6回通う中村さんは、県の要件なら継続入居できる可能性がある。

2016/11/1

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