連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

記事特集

  • 印刷
県外被災者に電話をする岡部育子さん=兵庫県庁
拡大
県外被災者に電話をする岡部育子さん=兵庫県庁

 阪神・淡路大震災で兵庫県外に移った被災者を支える「カムバックコール&メール事業」。連絡は17年前の開始時から県の嘱託職員、岡部育子さん(76)が一人で担ってきた。昨年9月末までの約16年間で、電話は972人に2万2523回。「いかがされていますか」。兵庫を離れざるを得なかった被災者は、そんな岡部さんの声で兵庫とのつながりを感じてきた。

 震災で、岡部さんが住む神戸市中央区の住宅は一部損壊したが、「何かお手伝いしたい」と仮設住宅の巡回訪問員に応募。9カ月間で仕事は終わったが、兵庫県は同事業開始に当たり、岡部さんに声を掛けた。

 当初は、県外に避難したいきさつや家族構成、希望する住宅などを聞くことが多かったが、避難者から被災時の状況や避難先での悩みを打ち明けてくれるようになった。県外に避難した子どもへのいじめについて、親から悩みを聞いたこともあり、「福島県からの避難者へのいじめと同じような経験をしていた。なぜいつまでも同じなのか」と心を痛める。

 岡部さんの声を楽しみにしていた県外被災者は多い。今も電話を受けている岡山県瀬戸内市の三宅誠さん(83)もその一人だ。約30年間住んでいた神戸市長田区の自宅が全壊し、故郷に避難した。「子どもにとっては神戸が故郷。戻りたいと思ってきた」と三宅さん。神戸に家を建て直したものの、妻の健康状況などから戻る機会を失い、その後、妻を亡くした。三宅さんは「いつも電話で力づけられた。感謝でいっぱいです」。

 昨年11月から事業終了を伝え始め、登録者からは「声を聞くのが楽しみだった」などと感謝されるが、「電話口で寂しい思いが伝わってくる」と岡部さん。「県外では震災のことを話す機会がなく、誰かに思いを伝えたいという人も多かった。電話で皆さんのお役に立てていたらうれしい」と話す。

 最後の電話は、2~3月にかける予定だ。(高田康夫)

2017/1/9

天気(9月24日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 10%

  • 28℃
  • ---℃
  • 10%

  • 30℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ